世界ナンバーワンのスタウトビールブランド「ギネス」が今月、インドネシアで初めてとなる生ビール「ギネス・インポーテッド・ドラフト」の公式発売を開始した。ジャカルタ首都圏を中心に国内のバーやレストラン、コンビニなど1千店以上で提供されており、順次拡大していく予定。
5日夜にはジャカルタ市内のビアホールで発売記念イベントが開かれ、樽生ギネスのクリーミーな泡と深いコクを味わえるお披露目に多くのビール愛好者が集まった。
これまでインドネシアでは瓶や缶入りの「ギネス・フォーリン・エクストラ・スタウト」が主流だったが、新たに生ビールの選択肢が加わったことでプレミアムビール市場の競争も活発化しそうだ。ただ、国内では法律上アルコール飲料の広告規制が厳しい事情もあり、ギネス側はSNSや限定イベントを活用したマーケティング展開でブランド浸透を図っている。

コメント
世界的ビールブランドのギネスがインドネシア市場に生ビールで参入したことは、嗜好(しこう)品市場の高級化トレンドを物語っている。イスラム教徒が多数を占めるインドネシアではアルコール文化は限定的だが、都市部の富裕層や外国人コミュニティーを中心にプレミアムビール需要が確実に存在している。ギネスは濃厚な黒ビールというニッチな製品で差別化を図り、世界的知名度も生かして市場開拓を狙う。
一方で、宗教的・文化的配慮から広告宣伝には慎重さが求められ、イベントや口コミで認知向上を図る戦略が必要だ。高価格帯の商品投入はインドネシア消費市場の成熟度を示す一つの側面であり、今後他の海外ブランド上陸も含め、ビール市場の多様化と文化との折り合いがどのように進むか注目される。
