麻疹流行 プカンバルで1人、スマネップで20人死亡

2025-11-14 05:31
東ジャワ州クディリの公立イスラム初等学校でワクチンの接種を受ける児童。インドネシアでは予防接種が十分に行われていない地域が少なくない=アンタラ通信
インドネシアのリアウ州プカンバル市と東ジャワ州スマネップ県で12日、大規模な麻疹(はしか)の集団感染が発生し、子供を中心に死者が出ていることが当局の発表で明らかになった。プカンバルでは今年に入り麻疹が疑われる症例が627件報告され、うち90件が陽性と判明、約2カ月前に小学生の児童1人が麻疹で死亡している。

 一方、東ジャワ州マドゥラ島のスマネップ県では2月以降約2700人が感染し、これまでに子供20人が死亡する深刻な事態となった。インドネシア保健省は、このスマネップでの麻疹を「異常発生(KLB)」と認定し、ワクチン接種率の向上とデマ対策の徹底を指示している。

 保健当局者は「麻疹は極めて感染力が強く、重篤化する恐れがある。親は決して軽視せず、子供への予防接種を必ず受けさせてほしい」と呼びかけている。

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 予防接種率の低下やワクチンを忌避する風潮が、麻疹の大流行を招いたとする意見もある。インドネシアでは近年、一部地域で麻疹ワクチンの接種が不十分だと指摘されてきた。スマネップの深刻な被害は、公衆衛生インフラの脆弱(ぜいじゃく)さと啓発不足を浮き彫りにした。

 当局は緊急対応として大量予防接種キャンペーンに乗り出し、地域社会や宗教指導者とも連携して誤情報の拡散防止に努めている。 子供たちの命を守るには、平時からの定期接種体制の強化と住民教育が不可欠であり、今回の教訓を機に国を挙げた公衆衛生戦略の立て直しが求められている。