
インドネシア保健省は結核の早期発見に向けて、プスケスマス(地域保健所)における「ワンストップサービス(OSS)」モデルの試行事業を開始したと発表した。
このOSSでは、胸部X線撮影、N―POCT(スピード診断装置)、分子迅速検査(TCM)を一カ所で一体的に行うことができ、受診者は1回の来所ですべての検査を無料で受けられる。8月からバンドン市やスマラン市の3つのプスケスマスで試験的導入が行われており、年末までに計1万人の住民検査を目指すという。
AI(人工知能)技術を用いた胸部レントゲン画像解析や、唾液・舌拭い液による最新の遺伝子検査も導入されており、現場の保健スタッフからは「一度で完結するので住民に好評」との声が上がっている。
政府はOSS方式を28年までに全国主要都市へ段階的に拡大し、30年の結核撲滅目標の達成を後押しする構えだ。
コメント
インドネシアは結核患者数が世界第2位という深刻な状況にありながら、これまで検査の煩雑さやアクセスの困難が早期診断の妨げとなってきた。
OSSモデルはこうした障壁を下げ、住民が身近な保健所で迅速かつ包括的に検査を受けられるメリットが大きい。実証段階ではAI解析など先端技術も活用され、精度と効率の向上が期待される。
今後は人員体制や機材維持など課題も出てくるとみられるが、行政・大学・国際機関の連携でモデルを確立し全国展開できれば、公衆衛生上の大きな前進となるだろう。結核との闘いにおいて、革新的サービスで患者と地域社会を支える本施策の成果が注目される。
