
インドネシア保健省はこのほど、デング熱対策として、ウイルス増殖を抑制する細菌「ワルバキア」を体内に人工的に保持させた蚊を放出して野外の蚊に広げ、デング熱のウイルスを保持する蚊の数を減らす新技術の導入を検討している。試験導入段階で患者数が87%減少する成果が確認されたという。
政府は2030年までにデング熱罹患(りかん)率を大幅に低下させる目標を掲げており、この技術の導入がその達成に役立つと期待されている。
コメント
ワルバキアはデング熱根絶を目指す自然由来の新技術であり、各国で成果が報告されている。
しかし導入には課題も多く、大量の蚊を飼育・放出する上で物流面での課題や、周辺住民らへの理解促進が必要だ。
国内では毎年数万件のデング熱患者が発生し、最近の気候変動も感染リスクを高めている。そのため、ワルバキア放出は既存の防疫対策と併用することが前提で、保健省や自治体と住民が一体となった取り組みが重要となる。試験導入の成功を踏まえた技術普及は地域モデルとなり得る一方、継続的な効果検証とモニタリングが今後の焦点となる。
