
インドネシア政府がカリマンタン島東部で進める新首都ヌサンタラ(IKN)建設は現在のプラボウォ・スビアント政権以降、後退している。
プラボウォ政権の中期開発計画(2025〜29年)では、食料安全保障や防衛、社会扶助など他の分野が優先リストの上位を占めた。予算面の後退も鮮明だ。ジョコウィ政権時代には22〜24年で累計約75兆ルピアが投じられたのに対し、プラボウォ政権は2025〜29年の関連支出を約48兆ルピア規模に抑えたと報じられている。単年度ベースでも、2024年に比べ25年は「3分の1」、26年案ではさらに「7分の1」の水準まで圧縮された。
投資環境にも逆風が吹く。11月には憲法裁判所が、ヌサンタラにおける投資家の土地利用権の最長期間を「最大190年」から「最大95年」へと半減させる判断を下した。破格の長期土地権で外資を呼び込むという構想が司法判断により後退した格好で、投資意欲を減退させることになった。
民間投資と人口流入の伸びは鈍い。総事業費の8割を民間で賄う計画に対し、これまでに実際の合意に至った投資額は目標を大きく下回る水準にとどまる。現地に常駐するのは公務員約2千人と建設作業員約8千人程度とされ、2030年人口目標120万人とのギャップは開くばかりだ。
