
インドネシアのプルバヤ財務相は11月27日の国会委員会の席上、多くの国民が海外で働かざるを得ない現状について「国内で十分な雇用を生み出せなかった我々の失敗の表れだ」との認識を示した。特に経済成長が鈍化した局面で国内の雇用吸収力が不足し、仕事を求めて国外に流出する労働者が増えたと分析している。
財務相は、インドネシアが毎年新たに労働市場に参入する人々を吸収するには最低でも6・7%の経済成長率が必要との試算を示した。その上で、新政権を率いるプラボウォ大統領の各種経済プログラムや投資促進策、政府支出の最適化、金融財政政策の強化により「今後はより高い成長を実現し、国内雇用の受け皿を拡大できるはずだ」との期待感を表明した。
同氏は「10年後にはインドネシアを米国のように豊かな国にし、人々が海外に出なくとも国内でより良い生活を送れるようにする」と語り、長期的な経済ビジョンを示した。
コメント
海外出稼ぎを「成功物語」ではなく「雇用創出の失敗」と言い切った点は、送金に依存してきた従来の成功ナラティブを転換し、国内での仕事づくりを政権の責務として位置づけ直す発言だ。しかし実質成長率を6・7%以上に引き上げつつ高付加価値産業の雇用を増やすことは容易ではない。プラボウォ政権が掲げる「10年で米国並みの豊かさ」というビジョンを現実のものとするには、投資誘致だけでなく、産業政策、労働保護、教育改革を一体で進める必要がある。
