短信ニュース:スマトラ島で人工降雨作戦開始

2025-12-03 05:28
アチェ州の空港で、雨を弱めるための資材をセスナ機に積み込む職員=アンタラ通信
 インドネシア国家防災庁(BNPB)は29日、スマトラ島北部のアチェ、北スマトラ、西スマトラ各州で大規模豪雨による洪水・土砂災害に対処するため、人工降雨(クラウドシーディング)による気象調整作戦を開始したと発表した。これにより、同庁は災害多発地域への降雨量を人工的に減らし被害軽減を図る狙いである。

 BNPBは気象庁(BMKG)や地方防災当局(BPBD)と連携し、スマトラ島の被災3州で飛行機による雨雲への薬剤散布を開始した。雲に塩化ナトリウムなどを撒き、雨雲を別の安全な地域に誘導することで、被災地上空での降雨を抑制する試みだ。

コメント

 スマトラ島の甚大な水害に対し、インドネシア政府は人工降雨という異例の手段で被害軽減に取り組み始めた。気候変動の影響で極端気象が増える中、テクノロジーを活用した緊急対策は一定の効果が期待できる。一方で根本的な解決には、森林減少の抑制やインフラ整備といった長期的施策による防災力強化が不可欠であり、今回の経験を踏まえて総合的な災害対策を進めていく必要があるだろう。