
インドネシア移住省のフィア・ヨガ・マウラディ副大臣は1日、違法操業取り締まりで押収した外国漁船を従来のように海没処分にせず、バタム島レンパン地区の移住漁民に譲渡するよう提案した。既に一部の押収船は法的手続きが完了しており、条件が整えば漁民への無償供与が可能だという。
ヴィヴァ氏は1日、リアウ諸島州バタム市のバレラング島に位置するレンパン移住居住地を視察し、地元の漁業関係者らに対しこの提案を説明した。密漁取り締まりで拿捕した外国船はこれまで抑止策として爆破沈没処分にするのが通例だったが、同氏は「貴重な資源を海に沈めるのではなく、移住漁村の生計向上に役立てるべきだ」と述べ、発想の転換を訴えた。既に関係各所、特にバタムの海洋水産資源監視局(PSDKP)にも提案を伝えており、具体的な協議に入っているという。
コメント
違法漁船の爆破処分でなく活用を図る提案は、資源の有効利用と移住者支援を両立させる試みとして注目される。漁船譲渡が実現すれば、レンパン移住地の漁民に新たな生業の機会をもたらし、彼らの経済自立に寄与し得るだろう。ただし、大型船の運航には高度な技術や多額の燃料費が伴うため、受け手側の十分な準備と能力強化が不可欠だ。政府による操船研修や協同組合組織を通じた共同運営など支援策を講じ、供与船が持続的な収入源となる仕組みを整えることが課題である。現場の意欲と制度的後押しが噛み合えば、本提案は違法漁業対策と沿岸地域の振興を両立させるモデルケースとなる可能性がある。
