
インドネシアのアイルランガ経済担当調整相は1日、大学卒業後に就職先が見つからない若者が100万人以上に上っている現状に懸念を示し、企業各社に対し新卒者向けの有給インターンシップ(就業研修)制度の受け入れ拡大など、雇用創出への一層の協力を要請した。同相は、政府主導の新卒研修プログラムを紹介しつつ、官民連携で若年層の失業問題に取り組む姿勢を強調した。
政府の統計によると、インドネシアでは毎年約130万人の大学卒業者が生まれる一方で、新卒者の一部が長期間就職できずに失業状態に陥っている。2月時点の全国失業率(TPT)は4・76%と前年同月の4・82%から改善したものの、都市部の若者失業は依然深刻で、アイルランガ氏は「100万人を超える大卒求職者を放置すべきでない」と危機感を示した。
政府はこうした課題に対処すべく、2025年から「新卒者10万人インターンシップ計画(マガン・ナシオナル)」を開始している。初回募集(2025年)では10万人の募集枠に対し15万人以上の応募が殺到し、人気ポストには倍率1000倍に達するケースもあった。政府は2026年も規模を拡大して本プログラムを継続する方針だ。
コメント
高学歴化が進む一方で雇用の受け皿が追いつかず、大卒失業者が増える現象はインドネシアに限らず各国で課題となっている。同国政府が導入した大規模有給インターンシップ制度は、大学卒業者に実務経験と収入を提供しつつ、企業側にも将来の人材を試用できるメリットがあるウィン・ウィンの試みだ。ただ、年間130万人超の新卒者に対し10万人規模ではまだ不十分との指摘もあり、民間企業のさらなる協力と受け入れ拡大が不可欠だ。景気低迷期に人件費負担を嫌う企業心理も理解できるが、短期的な収益だけでなく長期的な人材投資の視点が求められる。官民挙げて若者のスキル向上と雇用創出に取り組むことが、インドネシア経済の持続的発展に繋がると期待される。
