短信ニュース:政府、無償給食倍増、8000万人へ

2025-12-05 05:29
無料栄養食プログラムの衛生面と安全性を確かめるジャマリ調整相=アンタラ通信
 インドネシア政府は1日、2026年国家予算(APBN)で無償給食プログラム(MBG)を含む優先計画に総額2567兆9000億ルピアを割り当てる方針を発表した。経済成長の維持と国民福祉の拡大を図るもので、無料の栄養食プログラム受益者を現行の4400万人から2026年中頃までに8000万人へ倍増する目標も明らかにした。

 発表によれば、26年の国家予算総額3842兆ルピアのうち、約2567兆9000億ルピアがエネルギー、教育、保健、防衛など戦略分野への優先支出に充てられる。これは積極的な財政政策で景気の下支えと社会開発を同時に進める狙いだ。

 2026年の優先支出には教育に757.8兆ルピア、防衛に424兆ルピア、エネルギー安全保障に402.4兆ルピアが計上されるほか、無料栄養食(MBG)プログラムに335兆ルピアが充当されるなど、主要分野に巨額の資金が配分される。

 中でも無料栄養食プログラムは重点施策の一つとされ、現在の受給者約4,400万人を2026年5〜6月までに8000万人へ拡大する計画だ。政府はこのプログラムが子どもの健康改善や地場食品産業の活性化につながるとしており、アイルランガ調整相は「栄養食提供は食料・健康分野への大きな波及効果を生む」と強調した。

コメント

 経済成長率5%台に留まる近年のインドネシアにとって、財政によるテコ入れで成長加速と社会福祉の充実を図る戦略は挑戦的だ。2500兆ルピア超の優先支出は政府の強い意志を示すが、その巨額投資が実際に目標とする経済変革と国民生活向上につながるかは、執行段階の透明性と効率性にかかっている。今後、汚職防止や官民連携による効果的な事業推進が求められ、この野心的な財政計画の成否がインドネシア社会の持続的発展を左右するとみられる。