10年前にジャカルタでピザをデリバリーで注文しよう!と思うとピザハットやドミノピザぐらいしかありませんでした。現在では本格的な窯焼きのイタリア式ピザ専門店も多数出現しており、ピザ好きの日本人としてはありがたい限りですよね。美味しいだけではなく、最近では「リーズナブルな値段で本格的」なピザ屋さんも増えています。財布の中身を減らさずに、胃と心を満たしてくれる、そんなピザ屋さんをご紹介します。
【フードライター jakameshi(ジャカ飯)】
住宅街でひっそり営業
お店の名前は「Pizza Napoletana(ピッツァ・ナポレターナ)」。北ジャカルタのクラパガディンにあるモールの中……ではなく、ゲートで囲われた住宅街の奥の奥、袋小路でひっそりと営業しています。
一軒家を改築した小さくて可愛らしい、まさに地元の人のみ知る隠れ家的なお店です=写真①。
筆者がこのお店を見つけたのはデリバリーがきっかけでした。
数店舗あるデリバリーピザのチョイスの中で、一つだけ「ずば抜けて美味しい店」があるな、と感じていたのです。そして「絶対に焼きたてを食べたい」と近くを訪れた際に一人で立ち寄りました。
まさかこのような住宅街の中にあるとは思わず「いや……本当にこの先にあるのかな」と不安にかられながら訪れたのを覚えています。
このような場所にありながらも、週末ともなれば大賑わい。さらにデリバリーのオーダーも止まらずにキッチンは大忙しです。
2024年にはGo Foodからもベストパートナーとして表彰されるほどに。そして今年末にはついにこの場所を飛び出し、ルコ(店舗兼住宅)で座席数の多いレストランを開店するのだとか。着実にファンを増やし、ついに隠れきれなくなってしまったのです。
「こんな小さなお店でこだわりの超本格的ナポリピザを出しているのだから、きっとオーナーはイタリア人に違いない……もしやイタリア人の息子か?」と勝手に勘ぐっていたのですが、オーナーはインドネシア人のご夫婦です=同②。
お二人は飲食店の経験がまったくない中、コロナ禍流行時に新しいチャレンジとしてピザの製造と販売を手探りで開始。その後本格的に窯を導入し、ピザレストランとして正式に出発。現在に至ります。
多大な努力の結果だとは理解していますが、それにしても飲食経験のない彼らがなぜこれほど美味しいピザを作れたのか?それは本物のイタリアンピザのレシピを元にしているからです。
オーナーのトーマスさんは以前イタリアに2年間住んでいたことがあるそうです。その際ホストファミリーの元にホームステイしていたそうな。イタリアに第二の家族がいるんですね。 トーマスさん自身も本場のピザの味を知っていますし、レシピ開発でもイタリアのホストファミリーの協力を得たそうです。なるほど、他店とひと味違うわけです=同③。
レシピに加えて、さまざまなこだわりも光ります。 まず一番のこだわりは「100%ウッドオーブン」。少なくともジャカルタではガスの火力も加えながら窯を加熱することが多いそうですが、理想の味にならなかったとのこと。そして最終的に100%木を使って焼き上げるスタイルに至ったそうです=同④
さらに自分で作れるハーブや野菜はすべて自家栽培。それだけではなく、チーズも自分たちで作っているそうです。
さらに…生地は48時間熟成で……と他にも多くのこだわりがありますが、あまり書きすぎるとそれだけで紙面が終わってしまうので、そろそろ当日いただいたメニューをご紹介したいと思います=同⑤。
チーズ好き集まれ!
Napoletanaのピザには「Premio」と記載されたプレミアムラインがありますが、これらのピザには手作りのモッツァレラチーズが使われています。
手作りのボロネーズソースにたっぷりモチ~っと伸びるモッツァレラチーズ。美味しくないわけがないのですが、さらにこのピザを特徴づけているのがビーフブリスケットでしょう。
このビーフ自体にしっかりと味が付いていて、少しインドネシア料理のルンダンっぽさもあるんですよね。この濃い味のビーフがチーズと絡むことで、お互いの良さを引き立てているような印象を受けました=同⑥。
トリュフ香るキノコピザ
こちらもプレミアムラインです。一言で表現するならば、もうキノコ祭り。これでもかというほどキノコが攻めてきます。
そこにトリュフオイルもよく香ります。そしてこちらもキノコに負けじとたっぷりなモッツァレラチーズと混ざるとちょうどよい塩梅(あんばい)になります。究極にシンプルな具材なのに、とてもリッチなテイスト=同⑦。
お手頃な具だくさんピザ
こちらはプレミアムラインではなく、通常ラインのピザです。通常ラインのピザだと一枚あたり10万ルピア以下でいただけるのです。
しかし侮ることなかれ。こちらの「Portobello」はホワイトソースにフレッシュトマト、ポートベローマッシュルーム、モッツァレラチーズ、そしてたっぷりのディル(ハーブ)が載ったピザ。ホワイトソースの中に広がるチェリートマトの甘さと酸味がたまりません。
トマトからは素材にこだわってる感じが伝わりますね。そして最後にたっぷりのったディルの食感とほろ苦さがフレッシュな余韻を与えてくれます。うまくまとまってるなぁ=同⑧。
今回いただいたピザはどれも甲乙つけ難いのですが、どうしてもチャンピオンを選ばねばならないとしたらこの一枚かもしれません。でもやっぱり他も捨てがたい(笑)
店舗情報&まとめ
隠し切れなくなった隠れ家ピザレストランの「Pizza Napoletana」をご紹介しました。今回はピザをご紹介しましたが、パスタやラザニアなどのメニューもあります。どれもシンプルながら本格的な味でおすすめですよ(そしてお値段リーズナブル)=同⑨。
ちょっとクラパガディンまで行くのはしんどい、という方は「冷凍ピザ」も販売しているようなのでお店に問い合わせてみてください。
さて、肝心(?)のお酒に関してですが、ハラル認証取得済みのレストランのため、お酒の提供はありません。持ち込みに関しても不可です。
ただし、「プライベートパーティー」としてお店を貸切にした場合は例外的にお酒の持ち込みOKと許可をいただきました。トーマスさん、イタリアでの経験からか、柔軟な対応をしてくださいますね(笑)
パーティーの条件
・最大20名
・2時間(もしその後にお客さんがいなければ多少の延長は可能)
・最低支払額は250万ルピア
・グラスは持ち込み
ハラル認証店であることを考慮し、プライベートパーティーの時の写真をSNSに投稿するのは控えましょう。写真だけが広がり「お酒を売っている」などのあらぬ誤解が拡散するのを防ぐためです。
この美味しい焼きたてピザを食べながらビールとワイン……たまりませんね。近隣にお勤めの方は忘年会のチョイスとしてご一考ください。
