日本よりも高い?ガルーダ運賃
利権むさぼる「マフィア」の可能性
利権むさぼる「マフィア」の可能性
本紙調査によると、インドネシア国営ガルーダ・インドネシア航空グループの国内線運賃は周辺国の航空会社と比べて割高で、条件によっては日本よりも高額であることが明らかになった。ガルーダ経営陣は「(国内線)運賃の上限規制が経営改善の足かせとなっている」と主張してきたが、すでに割高な運賃が設定されている以上、調達などの際にかかるコスト構造こそが経営収支を圧迫する要因と言えそうだ。
調査では、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要国(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム)と日本における、路線距離1000㌖前後の国内便の最安値料金を調べた。調査の対象としたのは、各地を今年11月12日の昼間時間帯(午前8時~午後5時)に出発する便で、格安航空会社(LCC、預け荷物なし)とフルサービス航空会社(預け荷物あり)それぞれのカテゴリにおいて最も安い料金を記録した。

調査結果によると、格安航空会社・フルサービス航空会社でそれぞれ、インドネシアの国内線実勢運賃は、今回調査対象となったASEAN主要国の中で圧倒的に高額である。ほぼ同じ路線距離の幹線ルート同士の比較であるにも関わらず、LCCでは1・5〜2倍、フルサービスキャリアでは約2倍の価格となっている。ジャカルタ→デンパサール間の最安値はライオン・エアだが、ガルーダグループのシティリンクの運賃は、同社よりも20〜30万ルピア程度高く設定されていることが多い。
インドネシア以外のASEAN主要国では、フルサービス航空会社の1㌖あたり料金は1000ルピア前後に集中している。ガルーダの運賃水準は際だって高く、繁忙期の1㌖あたり料金は日本国内線に肉薄することもある。
この結果を踏まえ、航空アナリストは「調査対象国の大半はインドネシアより人件費が高く、機材や燃料の購入コストには大差がない。実勢運賃は他国比で高水準であり、ガルーダはフラッグキャリアとしての確固としたブランドと地位を築いている。このような環境下でなぜ収益があげられないのか、首を傾げざるを得ない」とした上で「他国にはない何らかのファクターが存在する可能性が高い」と語る。
インドネシアでは国営企業などの収益を一部の集団が利権化する「マフィア」がかねてから問題視されている。石油では今年に入り成分を偽ることで不当に利益を得たとして、国営石油プルタミナ子会社の幹部らが逮捕される事件が発覚し、大きな社会問題となっていた。インドネシア国民が誇る「不死鳥」がこのようなマフィアの食い物にされていないとは言い切れない。
プラボウォ大統領はそれらマフィアを撲滅する方針を掲げており、ガルーダの復活にはそうしたマフィアが存在するのかどうか、その実態の解明が必要となるのかもしれない。

