「ジャカルタ日報」創刊の背景と編集方針

2025-10-06 04:15

ジャカルタ日報の出発点

本稿では、なぜ私どもがジャカルタ日報を創刊するに至ったのかについての背景について、ご説明させていただきたいと思います。

外務省の調査によると、2024年10月01日時点でインドネシアに在留する邦人の数は1万5510人 だとされています。大使館・総領事館の職員、企業駐在員、自営業やフリーランスの方々、そのご家族など、インドネシアに来られた理由は様々だと思います。このような在留邦人の皆様にとり、正確で質の高い情報を提供する邦字メディアの存在は必要不可欠であると同時に、より楽しく実りあるインドネシア生活の実現に大きく寄与する存在だと考えております。

現状、在留邦人の皆様の利益や生活の豊かさに資する日本語メディアはまだ存在しないというのが私の率直な認識です。

例えば、日系企業のビジネスパーソンがインドネシアの政治や経済の動向について知ろうとする際、ニュースサイトなどから情報収集をすると思いますが、個々の情報はあっても背景分析が弱く「結局、これってどういうことなの?」と、自分の疑問に対する答えが見つからないということも少なくないと思います。また、現地メディアや英字メディアは想定読者がインドネシア語や英語を解する方に絞られてしまうため、インドネシアの現地の事情について深く知りたいもののハードルが高いという方も多いのではないでしょうか。

何より、「インドネシアの日系企業、在留邦人にとって、このニュースがどういう意味を持つのか」という視点で報じられ分析された日本語のニュースは皆無だと考えております。一方で、在留邦人の方の生活を豊かにするための、県人会、サークル、飲食店など生活情報も欠かせません。

そうした点を踏まえ、弊紙は「約1万5千人の在留邦人の皆様の興味関心に応える」という点に特化したコミュニティメディアでありたいと考えております。

基本となる3つの編集方針

まず、顔の見える紙面をご提供いたします。
弊紙はインドネシアの現地で開業する日本語新聞という利点を最大限生かし、在留邦人の皆様のご活躍を取材させていただきたいと考えております。代表的なものとしましては、お祭りなど各種イベントに加え、駐在員の方の新任、離任のご報告記事、日本人学校での行事などが挙げられます。こうしたメディア活動を通じ、コミュニティ意識の醸成に貢献して参りたいと考えております。

次に、質の高い報道記事をご提供いたします。
編集長の赤井が現場取材に現地報道の分析を加えた記事を通じ「今、何がインドネシアで起きていて、それは在留邦人、そして日本の今後にどう影響してくるのか」について考える材料を提供いたします。また、現地の時事ニュースについても、短信を日々掲載することで、インドネシアの今を効率よく知ることができるコーナーも設けます。
 
最後に、「ASEANの中のインドネシア、アジアの中のインドネシア」というインドネシアを取り巻く周辺国との関係にもこだわりたいと思います。
私が初めてインドネシアの地を踏んだ2013年と比較すると、ASEAN域内でのヒト・モノ・カネの動きは遙かに活発になってきています。また、急速に経済発展してきた中国の動向がインドネシアに与える影響も計り知れません。こうした現状を鑑み、インドネシアをASEANやアジアというエリアの中でとらえるという試みを始めたいと考えております。そのために、日本を代表する通信社である時事通信社のニュース配信を受け、ASEANや中国の動向も日々の紙面で紹介するとともに、編集部がインドネシアと関係が深いと判断したタイやベトナムなど周辺国のニュースも取り上げます。中国については、長年中国報道に携わってきたスペシャリストも参画することになり、紙面価値の向上に一層励む方針です。

邦字メディア企業としての持続的な発展の為に

弊社がご提供する商品/サービスは、印刷された新聞やオンラインで提供されるニュースだけではありません。メディアを持続的に発展させるには、新聞の信頼性を生かしたイベント等の多角的事業の展開を通じ、コミュニティの結束と活力を高めることが重要と考えております。まずは日々の新聞発行の体制が安定することが喫緊の課題ですが、それが一定達成できた暁には、こうした業容の拡大を順次進めて参ります。

これらのビジネス開発につきましては、現地の日系企業様とのコラボレーションや事業提携なども視野に入れ、インドネシアの現地で共に繁栄するビジョンを描き、実現したいと考えております。

最後になりましたが、弊社のボードメンバーは、編集担当の共同創業者である赤井俊文、事業担当の共同創業者である海老原純、営業部長の坂田恵愛の3名により構成されています。これは私どもの持論ですが、記者だけでは新聞社の運営は絶対にうまくいきません。企業にはソリッドな戦略戦術を立案実行する経営者や、現場で皆様の信頼を獲得できる営業パーソンがが必要不可欠ですが、ジャカルタ日報にはそれがあります。今後とも何卒ご贔屓にお願い申し上げます。

また、志を同じくする投資家各位から十分な出資を頂き、情熱あるスタッフも集まっております。永年当地で活躍されてきた在留邦人の皆様からのご支援にも深く感謝申し上げます。

 2025年11月12日開始予定の紙面配送を目指し、従業員一同邁進してまいります。今後ともジャカルタ日報を何卒よろしくお願い申し上げます。