あなたは全部飲んだことある!? インドネシア産ビール飲み比べ 一般向けビール編(後)

2025-11-14 05:16
 インドネシアのビールはなかなかにおいしい、そしてビンタン以外にもインドネシア国産&独自ブランドのビールは多数ありますよ!ということでスーパーでも手に入りやすい「一般向けビール」ほぼ全種(漏れていたらごめんなさい)を、筆者が実際に「飲んで」ご紹介する本企画。長過ぎたこちらの記事も、ついに最終章となる後編です。それでは行ってみましょう!(前編中編

アンカー

 「バリハイのドラフト」や「シンガラジャ ピルスナー」と並び、最安値の価格帯を競うのがこのアンカーです。よくお手頃価格で売られていますよね。


 居酒屋に並ぶことの少ないこのアンカーですが歴史は割と古く、1932年から製造されているそうです。ハイネケン関係会社のビール製造が29年にスタートしていますから、インドネシアにおいては「かなりの老舗」と言えるでしょう。もはや「開祖」に近い存在ですよね。


 肝心のお味は……麦芽のインパクトがやや強く、コクが後味に残るところが特徴です。ただ、アルコールの味が悪目立ちする感覚があります。


 ビールらしい苦味も感じられるのですが、これは好みが分かれるでしょう。この味が好きな人もいるのかもしれません。1932年から現代まで生き残っているのがその証拠です。でも筆者は苦手です。


香り=2 味=2 喉ごし=3・5

アンカー スタウト

 アンカーの黒ビール版です。黒ビールならではの濃厚なコクと香りの奥に、これは……少しバナナを思わせるような、ちょっとユニークなフレーバーがありました。赤道直下でバナナが大量に採れる影響でしょうか(そんなこと無い)。

 筆者はアンカーの通常版よりも圧倒的にいけるビールだと感じました。ただ、やはりアルコールが少し浮いている感じは変わりませんでした。


香り=3 味=3 喉ごし=3

プロスト ピルスナー

 プロストを製造するOrang Tua Group(オラン・トゥア・グル ープ、以下OT)はインドネシアの巨大消費財企業。身近なものだとTango(タンゴ)などのお菓子を作っています。彼らはインドネシアの伝統的な赤ワイン「アングルメラ(Angur Merah)」の製造でも有名です。


 そして満を持して2015年にOTが発売したのが「プロスト」です。ということで実はプロストも後発のビールです。

 OTが作るお酒は先ほどのアングルメラや蒸留酒のアラックなど伝統的にアルコールが多く、筆者の経験上「微妙」なんですよね。ところが!なかなかどうして、プロストは普通に飲めるビールで発売当時はたいそう驚きました。芳醇(ほうじゅん)とまでは言えませんが、適度なビールの香りと苦味がバランスを取っています。変に甘くもなく、日常ビールとしては全く問題なく飲めてしまいます。

 インドネシアビールの中では割と炭酸がしっかりしているのも特徴かもしれません。


香り=3 味=3 喉ごし=4

プロスト プレミアムラガー

 もう一つのプロストです。せっかくなのでピルスナーと並べて飲んでみたのですが、ピルスナーとは分かりやすく味が違います。少し穀物っぽさが出過ぎな気もしますが、一口飲むと強い香りが口に広がります。苦味の奥に少し旨みを含んでいるような奥深さもありますね。「ヨーロッパのビールです」と目隠しで出されてもわからないかもしれません。


 「缶のサイズが微妙で冷蔵庫に入りにくい」という理由で久しく飲んでいなかったプロストですが、デビューしたての頃よりもおいしくなってる印象を受けました。正直OTグループのお酒には良い思い出はないのですが、プロストだけは別です(笑)。


香り=4 味=4 喉ごし=4

編集後記

 インドネシアの一般向けビール、ほぼ全種の13種類を飲み比べた「痛風待ったナシゴレン」の本企画。お楽しみいただけたでしょうか?

 こうして改めて飲んでみると、全体的にライトな南国系ビールが多いものの、インドネシアのビールたちも個性的なキャラクターを持っています。そして結局酔えば全部おいしい。せっかく機会があってインドネシアにいるならば、ぜひ全制覇してみてください。

 実はもう一つ、アンカー

を製造している会社が「Kuda Putih(クダ・プティ)」というローカルビールを製造しています。筆者は過去にバンドンのバーで出会ったことがあります。

 ご紹介したかったのですが、筆者の行動範囲では手に入れることができず、今回は諦めました。白い馬のラベルが特徴です。見かけたらぜひチョバ(トライ)してみてくださいね。 


jakameshi プロフィール情報

 ジャカルタ在住10年超。国際結婚組。北海道生まれ。冷え性が辛くて冬がないインドネシアに来ました。過去に月間10万PV程度の「ジャカルタ飯」という情報ブログを運営していました。久しぶりに物書きができて嬉しいです。ジャカルタを中心に、インドネシア在住の皆さんの食と酒が楽しくなるような情報をお届けします。