インドネシアニュース 3Dプリント建築の普及目指すーV3D Asia、バタムで実証

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 3D建設プリンターの開発などを手がける V3D Asia グループ(本社・東京都千代田区)は、リアウ諸島州バタム島で3D建築プリンター事業の実証を進めている。インドネシアで拡大する住宅需要を背景に、3D建築プリンターが新たな手法として普及するかが注目される。

3Dプリンターで建設された住宅の骨格部= V3D Asia 社提供

 今回の実証では、3Dプリンターと従来工法を組み合わせた「ハイブリッド工法」を採用。建物を支える柱部分を3Dプリンターで施工し、壁部分は従来通りブロック積みで建設する手法だ。

 東南アジアの住宅建設では、鉄筋コンクリートで柱を作った後にブロックを積み上げる工法が一般的で、柱の施工精度や工期の長さが課題となるケースも多い。3Dプリンターを用いることで柱を短期間かつ正確に仕上げることが可能になり、建物全体の工程管理を効率化できる。

 柱が安定して施工できれば、屋根を早い段階で設置できる利点もある。雨天でも作業を継続しやすくなるため、天候に左右されにくい工期管理が実現。完成までの期間を従来よりも大幅に短縮できる見込みだ。 

建設に参画しているバタム島の住宅現場=同

 インドネシアでは急激な人口増加に伴い住宅供給が追いつかず、政府も大量供給を急いでいるが、従来の工法では工期の面で限界がある。一方、プレハブ住宅も選択肢の一つだが、現時点では供給体制が不十分で、輸送費などのコスト面にも課題が残る。

 こうした中、3Dプリント建築は従来工法とプレハブの中間に位置する「第三の選択肢」として活用が期待が持たれ、建設スピード向上とコスト抑制を両立させると評価されれば、大規模な住宅開発現場などで採用が広がる可能性がある。 また、同社の強みは3D建設プリンター本体の開発だけでなく、建設に使用する特殊モルタルの添加剤技術も自社で保有する点だ。プリンターは東南アジアで広く流通する汎用部品で構成されるため、特殊なパーツに依存せず、コストを抑えつつ高いメンテナンス性を確保できる。部品が故障した場合でも現地調達できるため、機械の稼働率を維持しやすいという。

 建設に使うモルタル添加剤についても、進出先で調達できる素材を利用する仕組みを採用。一般的な3Dプリント建設では、材料や機材を海外から持ち込むケースが多いが、同社は現地調達を基本にすることでコスト競争力を高めた。これにより、従来のコンクリート建築に比べ、大幅なコスト低減で住宅建設が可能となった。 

建築現場で稼動する3Dプリンター=同

 一方、隣国マレーシアでも首都クアラルンプール近郊の高級住宅地で3Dプリンティング技術を駆使した大型住宅の開発を計画。3Dプリント技術の特徴であるデザインの自由度を生かし、曲線的な形状など従来工法では難しい建築表現の実現を目指す。

 同社は今後、マレーシアとインドネシアを拠点に3Dプリント建築の実績を積み重ねながら、東南アジア全体での事業拡大を目指す方針だ。建設現場の見学も受け入れており、日系企業を含むパートナーとの協業にも意欲を示している。住宅市場で著しい成長が続く東南アジア地域で、3Dプリンティング建築が新たな手法として定着するかが注目される。