インタビュー インドネシアM&A「中小にも機会」ーリデルタ・國井社長に聞く

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 東南アジア特化型のM&Aデータベースを提供するスタートアップのリデルタがインドネシアにおける日本企業の事業展開支援を強化している。同社の國井大地社長はジャカルタ日報の取材に応じ、「日本企業が自ら買収候補企業を探せる仕組みを整えた。案件探索から買収後の統合支援(PMI)までを一貫してサポートする」と話す。

リデルタの國井大地社長=同社提供

 ――今年3月に公開した「リデルタM&A」の概要は。

 ◆東南アジアの企業買収案件を検索できるデータベースだ。海外進出を検討する日本企業にとって、現地情報やネットワークの不足が大きな障壁になる。こうした「情報の非対称性」を解消することを目的にした。

 ――掲載案件の中で、インドネシアの存在感は大きいか。

 ◆その通りだ。当社は事業の初期段階からインドネシアで活動を進めており、現地のエージェントや専門家とのネットワークを十分に構築してきた。その結果、データベースに掲載される案件の中でも、インドネシアは特に大きな割合を占めている。

 ――案件はどのように発掘しているのか。

 ◆現地の専門家ネットワークを通じて発掘している。インドネシア国内のシンクタンクや会計事務所、法律事務所などと連携し、企業売却の可能性がある案件を収集している。こうした地場(ローカル)ネットワークを活用することで、普段は出回らない企業売却案件にもアクセスできる。

 ――自社で直接開拓することもあるのか。

 ◆自社で直接アプローチする場合もあるが、現地のパートナーを経由するケースが大半を占める。インドネシア市場では、日本企業からの関心が多角化しており、物流、化学、食品、サービスなど幅広い分野が対象になる。

 ――インドネシアのM&A市場をどう捉えているか。

 ◆まだ成熟しているとは言えない。案件数が特別に多いわけではなく、この分野に関わるプレーヤーもまだ限られているのが実情だ。

 ――国際的なM&Aを進める上での具体的な壁は。

 ◆買収後の統合(PMI)が難所になることは多い。特に企業の精査(デューデリジェンス)の段階で想定外の問題が見つかることもある。例えば、企業の会計帳簿が複数存在していたり、経営者の個人的支出が会社経費として処理されているなど事例もある。

リデルタでは國井社長らがM&A案件のデータベースを作成し、積極的に新規案件を発掘している=同

 ――買収後の経営統合において何が重要になるのか。

 ◆創業者であるオーナー経営者との関係性は非常に重要だ。株式譲渡後も前オーナーに経営者としての意識が残ることもあり、権限の移譲を段階的に進める体制づくりが不可欠になる。急激な経営権の交代は従業員の離職を招く恐れもあるため、3〜5年程度の期間をかけて統合を進めるケースが多い。

 ――その点について、リデルタとしてはどのように支援しているのか。

 ◆必要に応じてPMI支援の人材を送り込み、現地専門家と連携しながら企業統合を支援している。

 ――日本企業のインドネシア進出方法にも変化が出ているのか。

 ◆かつては現地法人設立が主流だったが、近年は既存企業の買収(M&A)による市場参入が増えている。ゼロから会社を立ち上げるのではなく、既にある企業を文化や組織ごと引き継ぐ方が立ち上がりも早く、その後の事業展開も円滑に進むケースが多い。

 ――改めて、インドネシア市場の魅力とは。

 ◆人口が増え続けているので、長期的に見て成長市場だ。将来的な市場拡大を見据えると、早期に参入することが重要だと考えている。

 ――想定する案件の規模感は。大企業向けが中心になるのか。

 ◆規模は多岐にわたるが、1億円前後の手頃な案件も多く存在する。中堅・中小企業にとっても参入の余地があり、M&Aは海外市場への足掛かりとして有効な手段の一つになり得る。必ずしも大企業だけのものではなく、むしろ日本の中小企業が市場を取りに行くための手段として、M&Aは十分に活用できる手段だ。

 ――今後、日本企業にとってM&Aの重要性はさらに高まっていくか。

 ◆そのように考えている。成長を続ける東南アジア市場への参入という点で、日本企業にとってM&Aという選択肢の重要性は今後さらに高まっていくはずだ。