コミュニティー トランプ氏が及ぼす影響ーJJC東部エリア部会セミナー 丸紅経済研究所・今村社長が講演

ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)東部エリア部会は2月25日、MM2100工業団地(西ジャワ州ブカシ県)で特別講演会と懇親会を開催した。講演会では「トランプ米大統領は世界をどう変えるのか?――世界・アジア・日本の経済展望2026」をテーマに、丸紅経済研究所の今村卓社長が登壇。米国での政府渉外活動を通じて得た独自の知見を踏まえ、トランプ政権が世界経済に深く関与しているとし、3つの注目点を挙げて解説した。
今村氏はまず「アフォーダビリティー(生活負担)危機」を指摘。食料品や住宅費などの上昇により中低所得層の購買力が低下していることや、支援策の不足がトランプ政権への支持低下につながったとし、またインフレ問題の解決を公約したトランプ氏に失望が広がっていると分析した。
前日に行われたトランプ大統領の一般教書演説についても言及し、アフォーダビリティー危機を十分に捉えきれていないことや、米国では不法移民が都市部の経済活動を支えている現状を説明した。また、アフォーダビリティー危機は日本も例外ではないとした。
次に「国際秩序の浸食と変容」を挙げた。トランプ政権がグリーンランド獲得に意欲を示していることや、ベネズエラのマドゥロ大統領拘束、イランへの攻撃といった地政学リスクの高まりを指摘し、トランプ政権は「流動する世界」を加速させているとの見方を示した。
国際経済面では、いわゆる「トランプ関税」が国際経済の秩序を変えたとして、各国が米国以外への輸出拡大や、米国を含まない自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)拡大を模索していると説明。国際経済情勢の変化に応じたサプライチェーン再編に向けた投資が進んでいるとした。
最後は「拡大するAI(人工知能)経済」を挙げ、AIにひも付いた経済活動が拡大する一方、金融、顧客サービス、会計・監査などの分野で労働市場や雇用に影響を及ぼす可能性を指摘。また、データセンター需要の先行きが不透明な中、電力需給の沸騰や電気料金上昇を招くリスクがあるとした。
東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるAI経済については、今年はAI関連の半導体やサーバー需要が輸出を下支えし、一定の堅調さを維持すると分析。一方で、米国の関税政策を巡る不透明感が残っており、景気の勢いが次第に弱まる可能性があるとして、やや減速するとの見方を示した。