インドネシアニュース アヤサン、清掃から福利厚生へー来年末までに法人100社目標

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 家事代行やベビーシッターなどのホームサービスを展開するアヤサン・ホールディングス(本社・横浜市)が、インドネシアで法人向け事業を本格化している。オフィスやホテル、大使館などへの清掃サービスを足掛かりに、契約企業の従業員が家事代行などを割安で利用できる福利厚生サービスへの波及を狙う。2027年末までに国内の契約法人を100社まで引き上げる計画だ。

アヤサン・ホールディングスがインドネシアで展開する法人向け清掃サービス=同社提供

■合弁解消し単独体制へ

 アヤサンは日本やタイ、インドネシア、ベトナム、ラオス、カンボジアなどで家事代行やベビーシッターなどのホームサービス事業を展開。グループの累計利用者は100万人超で、法人への導入実績も1000社を超える。

 インドネシアには18年に進出。当初は現地企業との合弁だったが、昨年合弁を解消して自社単独の事業体制へ移行した。ブランド名を「アヤサン」に統一し、ジャカルタ中心部の拠点を軸に法人営業を強化している。

■成長市場で基盤構築

 同社の伊勢康太郎最高経営責任者(CEO)がインドネシアを重視する理由の一つが市場規模だ。

 伊勢氏はかつてインドネシアで輸出入事業を手がけた経験を持ち、人口約2億8000万人のインドネシアが東南アジア最大の経済大国として持つ潜在力に期待する。市場が成熟する前の段階から参入し、顧客と人材の基盤を早期に固める考えだ。

■駐在員の家事サポート

 個人向けサービスでは、日本人に加え欧米や中国などの外国人駐在員が主要顧客だ。インドネシアで外国人が自力で家事スタッフを探す場合、能力や身元の確認、適正な給与水準の把握は容易ではなく、外国語対応が可能な人材も限られる。

 同社は独自のデータベースから条件に合う人材をマッチングし、雇用条件の交渉もサポートする。利用者がスタッフを直接雇用し、同社が紹介料を得る仕組みで、スタッフとの条件が一致しない場合の再紹介保証も用意した。将来的には専用アプリを導入し、1日単位での注文などオンデマンド型の家事サービス展開も目指す。

■法人サービスに注力

 今後、特に拡大するのが法人向けサービスだ。

 背景にはコロナ禍の経験がある。感染拡大を恐れた個人客がスタッフ派遣のサービスを断った一方、法人向けが経営を支えた。こうした経験から収益基盤の安定化に向け、法人事業の強化へかじを切った。

 同社の強みは、清掃スタッフの採用、教育、配置から現場の品質管理までを一元管理する点にある。

 現地では小規模なローカル業者にオフィス清掃を委託する企業も多いが、重要書類や機器が置かれたオフィスへの出入りにはセキュリティー面での問題が伴う。同社は、人材の身元保証や徹底した教育管理体制を前面に打ち出し、企業側の「リスク管理」の需要を取り込む。

■信頼養い実績へ

ニーズに合わせてさまざまなサービスを用意したアヤサン社のサイト=同

 顧客開拓では、まず日系を含む外資企業を中心に据える。インドネシアの大手ローカル企業やデベロッパーの商流に外資企業が参入するのは容易ではないためだ。

 一方、大企業の本社は入居するオフィスビルに清掃サービスが付帯するケースが多い。このためホテルや大使館に加え、ジャカルタ首都圏(ジャボデタベック)各地に置く営業所やサービス拠点、小規模オフィスなども有望市場とみる。

 タイでは大使館での採用を契機に取引が拡大した実績があり、インドネシアでも信頼性を重視する外資や公的機関での実績を足場に、契約を積み上げる方針だ。

■福利厚生利用も視野

 こうして獲得した法人契約を、本来の強みである個人向け需要へと還流させる仕組みが「アヤサン・ビズ・プラス」だ。

 契約企業の従業員に会員資格を提供し、自宅での家事代行やベビーシッター、介護などを利用する際に優待価格を適用する。タイでは対象サービスを2割引きで利用できる福利厚生策として定着した。法人の職場環境を整えるだけでなく、その従業員や家族の生活まで支援することで顧客との接点を拡大。個人向けで培った人材ネットワークと、法人向けの管理機能をかけ合わせる戦略だ。

■「清掃にもリスク」指摘

 インドネシアの日系企業に対し、伊勢氏が訴えているのが「清掃など日常的なバックオフィス業務の見直し」だ。

 伊勢氏は「例えば、清掃は目立ちにくい業務だが、外部スタッフがいつもオフィス内へ出入りする。誰を採用し、どう教育し、誰が管理しているのか。明確な管理体制を整えることは、業務品質だけでなくセキュリティーなどのリスク管理に直結する」と指摘する。

 アヤサンは大規模な本社に加え、営業所やサービス拠点、ホテルなどへの導入も想定する。法人契約後は「アヤサン・ビズ・プラス」を通じ、従業員や家族が家事代行やベビーシッターなどを利用しやすい環境を提供する。

 伊勢氏は「清掃や人材管理を単なるコストではなく、企業の安定運営や従業員の生活支援につながるサービスとして提案する」と説明。日系企業にも「清掃体制や福利厚生に課題があれば相談してほしい」としている。