インドネシアニュース 日本勢巻き返しの起点にーVRIグループ 佐々木結一郎社長
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を展開するVRIグループ。「B2Bテックアジア2026」を主催する同社の佐々木結一郎社長に、開催の狙いを聞いた。

——イベントのコンセプトは。
◆インドネシアではこれまでに類のない、B2B(企業間)ソフトウエアに特化した展示会だ。これまで東南アジアでは、比較的低い人件費を前提に、「人手」で業務を回すことがある程度可能だったが、経済成長とともにその前提は崩れつつある。競争力を維持するには、単純に人を増やすのではなく、ソフトウエア導入による効率化や自動化が欠かせない。今まさに市場が立ち上がるタイミングだと見ている。
——既存のテック系イベントとの差別化をどう図るのか。
◆従来のイベントはスタートアップ支援や投資家向け企画が混在し、何のためのマッチングか分かりづらい点があった。今回はB2Bソフトウエアに絞ることで、その方面に関心を持つ人が集まる。量より質を重視し、商談につなげたい。
——出展企業の顔ぶれと、評価の背景は。
◆海外勢はAWSやセールスフォース、ゾーホーなど、日本からもソフトバンクや電通、三井住友銀行(SMBC)といった有力企業が参画する。インドネシアからも一定の知名度を持つ企業が出展する予定だ。
こうした企業が数多く参加してくれたのは、B2Bソフトウエアだけを集めたイベントが今までなかったことに加え、各社が面白さを感じてくれたからだと思う。さらに、出展ゾーンの設計や動線管理を見直し、来場者が希望に合致したブースへ行けるようにしたのも、評価につながったと考えている。

——日本企業がイベントに参加する意味をどう捉えているか。
◆日本企業にはB2Bテックの分野でアジア市場を取りにいきたいという意識がある。既に業務効率化ソフトや法人向けITサービスの市場が成熟しているため、その知見をインドネシアでも生かせると考えている。スポンサーの顔ぶれを見ても、マーケティングや金融など周辺領域を含め、先行者利益を狙う姿勢が明確だという印象だ。
——日系駐在員や現地法人が来場するメリットは。
◆最大の利点は、インドネシア市場に適した主要ソフトウエアを短時間で比較できることだ。出展企業の多くは日系企業へのアプローチを狙っているが、日本語対応や接点不足でうまく届いていない。日系企業側から見れば、現地で使えるツールを一日で把握できる場になる。
——出展企業から見た日系企業の存在感は。
◆極めて高いと思う。現地企業にとって日系企業は、意思決定が慎重で「距離」がある、やや特別な存在に映っている。
しかし、実際には接点がないために機会を逃しているに過ぎない。現地企業にとってもこのイベントで商談の余地は十二分にある。
——日本製品への評価をどのように感じているか。
◆IT部門の意思決定者は、機能だけでなく「安定性」を非常に重視する。その点で、日本製品への信頼は依然として厚い。過去のイベントでも、日本のツールが並ぶだけでかなりの来場者が集まった。ブランドとしての信用は、まだ十分な武器になると思う。
——ターゲットとする来場者層と、成約に向けた課題は。
◆3000人規模を想定しているが、重視するのは質だ。具体的には、平日に時間を取って会場に来られるような企業の中核的なビジネスパーソンをターゲットにしている。単に見学に来るのではなく、自社に合うツールを探さなければいけない使命を帯びる人たちだ。
——インドネシアでソフトウエアを売る際の課題は何か。
◆重視するのは価格だ。先進国向けのソフトはインドネシアでも使えるが、価格設定が現地の賃金水準に対して高価になりすぎる。現地の市場にあった価格と機能に最適化しないと、有名なブランドというだけでは導入が進みにくい。
——昨年主催した「ジャパン・テック・インドネシア」の成果は。
◆IT部門に特化した集客を行い、実際に日本企業の進出を後押しできた。日本式の運営や動線設計が現地でも有効だと証明されたことは手応えになった。これまでの顧客データベースとの相乗効果も確認でき、その経験と顧客基盤が、今回の規模拡大につながっている。
——イベントを通じて描く未来像は。
◆「B2Bソフトウエアといえば日本勢」という流れをアジアで確立したいと考えている。日本国内の展示会市場では外資勢の勢いが強いが、アジアでは日本勢として巻き返す余地が残っている。その起点をインドネシアで作りたい。