インドネシアニュース WIKAが高速鉄道から撤退へ

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 政府系ファンド「ダナンタラ」のドニー・オスカリア最高執行責任者(COO)は7日、高速鉄道「Whoosh(ウーシュ)」事業による巨額損失を抱える国営建設ウィジャヤ・カルヤ(WIKA)について、事業再編を進める方針を明らかにした。WIKAは鉄道運営から撤退し、本業の建設事業に回帰する方向で調整を進める。 

中国との調停が停滞中のウーシュ=アンタラ通信

 WIKAは高速鉄道の事業主体であるインドネシア・中国高速鉄道社(KCIC)に出資する企業連合(PSBI)の株33・36%を保有する。この投資に伴う損失負担は年間約1兆7000億〜1兆8000億ルピアに上り、経営を圧迫していた。経営陣は持ち分売却を目指すが、法的拘束力を持つ大統領令の制約もあり、慎重な手続きが求められている。

 一方、5兆200億ルピアのコスト超過分を巡る調停は、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)で手続きが進行中だ。政府側は債務再編案について「大筋で合意済み」としており、近く正式に公表する見通し。鉄道運行については、引き続き国営鉄道(KAI)が主導する。

編集部コメント

 国家戦略案件に国営建設企業が投資主体として深く関与した結果、本業と負担の不整合が表面化した例といえる。

 ダナンタラがWIKAを「建設本来の業務」に戻す方針を打ち出したのは、国営企業の事業の優先順位を再考する動きだ。焦点は、損失の穴埋めという対症療法に留めず、巨大案件における負の連鎖を断つ持続可能な制度設計を構築できるかにある。