文化・くらし・コミュニティー インドネシアで老舗の味、ASEAN展開もーナマ・グループ神山氏「本物の味で勝負」

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「マイクさん」の名で親しまれる神山誠氏

 インドネシアで飲食事業を展開する外食大手「ナマ・グループ」が、日本の老舗飲食ブランドの多角展開を強化している。居酒屋「村さ来」や回転寿司「平禄寿司」、カフェ「HARIO CAFE TOKYO」などを手がけ、日本の食文化を現地に根付かせるとともに、将来的には他の東南アジア諸国連合(ASEAN)への進出も視野に入れる。

■老舗ならではの価値を

「村さ来」名物のイカメンチコロッケ。サクサクの衣のコロッケと具材のイカの相性が絶妙だ

 「大切なのは店舗数ではなく、本物の日本文化を正しく伝えること」――。同グループの日本食部門本部長兼料理長を務める神山誠氏は運営方針についてこう強調する。愛称「マイクさん」としても知られる神山氏は青森県出身。2013年からインドネシアで日本食の事業に携わってきた。

 重視するのは、日本で長年親しまれてきたブランドの価値だ。

 昭和期から続く居酒屋チェーン「村さ来」、回転寿司草創期からの歴史を持つ「平禄寿司」のほか、100年以上の歴史がある耐熱ガラスメーカーのHARIO(ハリオ)が手がける「HARIO CAFE TOKYO」は、インドネシアでも人気のコーヒー文化を発信している。

海外在住の日本人にはありがたい味の「ハマチ漬け丼」も人気

 神山氏はこうした老舗ブランドの魅力を「昔を知る世代には懐かしく、若い世代には新鮮に映る」とした上で「世代を超えて日本の食文化が受け継がれてほしい」と期待を寄せる。

 近年、国内の飲食業界ではSNSでの話題性を意識した店舗が増えているが、神山氏は「本当に長く愛されるブランドは品質へのこだわりを持ち続けている」と述べ、流行に左右されないブランドづくりの重要性を強調した。

 特に「HARIO CAFE」については、インドネシアでの事業拡大に加え、将来的にはASEAN市場への進出も見据える。日本食の人気が世界的に広がる中、同グループは長年培われてきた老舗の価値を生かし、インドネシアを起点に日本の食文化を次世代へつなげていく構えだ。

■数々の「味」提供

オーブンでカリッと焼き上げたZENBUの看板メニュー「Mozaru」

 ナマ・グループはインドネシアで複数の飲食事業を展開しており、マルトニー・ヤング氏が05年に日本食レストラン「ZENBU House of Mozaru」を創業したのが事業の出発点。同店は日本食をベースに、チーズを使ったドリア風料理「Mozaru」などインドネシア人の好みに合わせたメニューを開発し、若者やファミリー層を中心に支持を拡大。ジャカルタなど主要都市に20店舗以上を展開する。

 グループではその後、ラーメンや鉄板料理、カフェなど複数の業態に事業を広げ、店舗開発や食材調達のノウハウを蓄積してきた。

 近年は、自社開発のブランドに加え、日本企業が持つ飲食ブランドのインドネシア展開を強化している。24年には日本の耐熱ガラスメーカー、HARIOが展開するカフェをジャカルタに出店。こだわりのハンドドリップなど、日本のきめ細やかなコーヒー文化を取り入れた店舗を運営している。

まるで日本の居酒屋にいるかのような「村さ来」の店内

 25年には、日本の外食大手「焼肉坂井ホールディングス」とのフランチャイズ事業を開始し、同社が展開する回転寿司チェーン「平禄寿司」のインドネシア1号店を西ジャワ州バンドン近郊に開業。さらに26年1月には、同社の居酒屋チェーン「村さ来」を南ジャカルタに初出店し、業態を拡大させた。

 現地発の日本食レストランから始まった事業は約20年を経て、日系外食ブランドをインドネシア市場へ誘致する有力な「受け皿」としての役割も担う。自社と日系の複数ブランドを組み合わせた、独自の体制を構築し、流行に左右されない「本物の日本食文化」をさらに広げたい考えだ。