文化・くらし・コミュニティー 現役近大生のラーメン店、世界へー「近大をすすらんか。」ジャカルタにポップアップ / 齊藤玲央・5代目店主インタビュー
近畿大学の現役学生によるラーメン店「近大をすすらんか。」が、初の海外出店という大きな挑戦に乗り出している。タイ・バンコクでの出店を皮切りに、9月5、6日にはジャカルタ、同月下旬には米国ボストンで期間限定のポップアップ店舗を相次いでオープンさせる。5代目店主に就任した同大経営学部4年の齊藤玲央さんに、海外進出に至る経緯と将来への展望を聞いた。

——「近大をすすらんか。」とは。
◆近畿大学が、学生の中から次世代の経営者を輩出しようと立ち上げた起業支援プロジェクトの一環だ。選ばれた学生は大学のサポートを受けながら実際の店舗を1年間経営する。毎年、次期店主を決めるための事業計画のプレゼンテーションと、オリジナルラーメンの試食審査があり、選考を経て店主が選出される。
実は、私自身は一度この選考に落ちた。それから大学を一時休学してワーキングホリデーでオーストラリアへ渡り、現地のラーメン店で新規店舗のシェフを任され、調理だけでなく店舗運営のノウハウを肌で学んだ。その海外での経験を経てもう一度選考に挑戦し、店主に選ばれた。
——もともと飲食業を志していたのか。
◆まず「ラーメンが大好き」という思いがあり、大学1年生の時から「アルバイトをするならラーメン店」と決めていた。これまでさまざまなタイプの店で働き、現在店で提供している商品にも、それまでに培った経験が生かされている。
一方で、学生向けの美容サロンも立ち上げ、そこでサービス業の基本や接客の面白さを経験した。今度は「飲食」という全く別の業種で自分の力を試してみたいという思いが強くなり、将来、自分が飲食店を持つ可能性も見据え、学生のうちにリアルな店舗経営を経験しておきたかった。

——海外出店を決めた理由は。
◆店主を務めるこの1年間の内に「どうしても海外での出店を形にし、将来につながる経験をしたい」と考えた。学生という立場だからこそ挑戦できるチャンスだと捉え、主体的に動いた。
特に東南アジアには以前から関心を抱いていた。現地では日本食文化が深く浸透している上、経済も成長している。将来、私自身が東南アジアを舞台に飲食事業を展開する可能性も視野に入れているため、自分たちの商品や店舗運営が海外でどこまで通用するのかを試してみたかった。
——タイ、インドネシア、米国の3カ国になった経緯は。
◆最初に決まったのはタイで、大学の所属ゼミの教授から、現地流通業界の関係者を紹介してもらったことがきっかけとなった。
インドネシアも人とのつながりがきっかけだ。出店先となるラーメン店「Menya Beast(麺やビースト)」の関係者の方と以前から親交があり、タイへの出店が決まった段階で「それならジャカルタでもやってみたら」と声をかけてもらった。そこから1カ月ほどで出店が決定した。
ボストンでは、近大のOBでラーメン店を経営している方に協力してもらった。最初からこの3カ所を狙ったというより「人とのつながり」で実現できる場所を一つずつ実現していった形だ。

——ジャカルタではどのようなメニューを提供するのか。
◆近大内の店でも販売している看板メニューの「近大まぜそば」だ。バンコクでも同じ商品を出している。
今回の商品は豚肉を使用しているため、イスラム教のハラール対応のメニューではない。ジャカルタでの出店先もノンハラール商品を扱う店舗だ。まずは「近大をすすらんか。」という存在と「近大まぜそば」の味を現地の方々に知ってもらい、認知度を広げることを重視している。
——今回の海外出店で得たい目標は。
◆単にまぜそばを販売するのではなく、日本で培った商品開発や店舗経営の力が、海外でどこまで通用するのか自分自身で確かめたい。
ジャカルタやバンコク、ボストンでは客層も市場も全く違う。それぞれの国で実際に店を運営し、お客さまの反応を確かめること自体が将来への大きな糧になると思う。
今回得た経験を将来の事業へつなげ、いずれは海外で日本の飲食業を盛り上げていける存在になりたいと考えている。