インドネシアニュース 実利追う多角外交の試練ー避けられぬ米国の影
プラボウォ政権下でインドネシアとロシアの協力関係は、実務レベルで急速に深化している。
インドネシアは昨年1月に東南アジア諸国連合(ASEAN)として初めてBRICSに加盟した後、同年6月にはロシアと戦略的パートナーシップ宣言を採択し、高等教育や運輸、デジタルメディア、投資など広範な分野での連携を強化。さらに、昨年12月にはロシア主導のユーラシア経済連合(EAEU)との自由貿易協定(FTA)にも署名した。これにより、EAEU側品目の90%以上で優遇税率が適用される見通しだ。今回の会談は、石油のみならず物流や食糧供給網までを見据えた包括的な経済協力の延長線上にある。ロシア側も東南アジアの有力市場との結びつきを深める思惑だ。
だが、実務上の最大の懸案は米国の動向だ。会談中、プラボウォ大統領が「金融取引の迅速化を自ら監督したい」と言及したのは、米国の対露金融制裁が、石油輸出などの決済に深刻な支障をきたしている現状を裏づけている。
一方で、米国もインドネシアの取り込みを急ぐ。米戦闘機の売却や領空飛行の権利を巡る交渉が進んでいるとの報道もあり、インドネシアを巡る米露の綱引きは激しさを増している。
今回の首脳会談で、両国の間で石油の安定供給を含む関係強化の方向性は明確となった。しかし、米国との関係もあり、実務レベルで計画が円滑に進展するかは依然として不透明だ。今後、輸入数量や価格交渉に加え、制裁網を回避する「決済通貨」などの具体的条件をどこまで詰められるかに注目が集まる。