グルメ インドネシアに住んでいるなら知っておきたいーコーヒー産地の話

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 最近、日本のカフェでもインドネシア産のコーヒーを目にする機会が増えてきましたよね。インドネシアのロースターが日本のコーヒーイベントに出展したりと、その存在感は確実に増しています。せっかくインドネシアに住んでいるのだから、ここは少し得をしましょう!さまざまな産地の豆をリーズナブルなプライスで楽しめるのは、在住者ならではの特権です。インドネシア産コーヒー豆の入門編をまとめました。【フードライター ジャカ飯(jakameshi)】

■コーヒー豆の基本知識

インドネシアのコーヒー分布図。産地によって味が異なる=筆者作成

 インドネシアは実は世界第4位のコーヒー生産国です。ブラジル、ベトナム、コロンビアに次ぐ規模。なんとなく「コーヒーが有名な国」というイメージはあっても、そこまで大きな生産国だとは意外に知られていないですよね。

 そしてインドネシアの面白いところは、1万7000以上あると言われる島々それぞれに異なる気候・土壌・標高があること。当然ながら島が違えば味も違う――これが産地ごとの個性につながっています。コーヒーの世界では「テロワール(Terroir)」という言葉で表現されますが、難しく考える必要はありません。「島の名前=味のキャラクター」とひもづけて覚えるだけでOKです。

■ 島ごとの特徴 

 コーヒー豆の種類は追うほどにどこまでも細かくなりますが、小難しいことはいりません。今回はインドネシアの代表格ともいえるコーヒー産地とフレーバーの特徴をざっくりとお伝えします。

▶マンデリン(スマトラ島)

 インドネシアコーヒーの代名詞といえば、まずこれでしょう。ボディーがしっかりしていて、重厚な苦みとまろやかなコクが特徴です。強すぎず、弱すぎず、非常にバランスの取れた豆だと思います。

 散々いろんな豆を飲み歩いてきた結果、筆者は「毎日飲むならマンデリン」という結論に至っています。我が家の冷凍庫には常にマンデリンの豆が入っています。コーヒー初心者にも、飲み慣れた方にも自信を持っておすすめできる一杯です。

 ちなみに、マンデリンはスマトラ島北部で広く栽培されているコーヒーの総称的な名前で、後述のアチェ・ガヨのように産地の名前で細分化されて販売されることも多いです。

▶アチェ・ガヨ(スマトラ島)

 同じスマトラ島でもマンデリンとは全く異なるキャラクターを持つのが「アチェ・ガヨ」です。アチェ州のガヨ高地で栽培される豆で、マンデリンの一種ではあるのですが、区別して販売されるのが一般的です。最大の特徴は「酸味」。それも普通の酸味ではなく、華やかでフルーティーな明るい酸味。筆者がこのコーヒーに出会ったのはジャカルタに来てまだ日の浅い頃でしたが、「コーヒーって苦いもの」という先入観を完全に崩されました。一時期はこればかり飲んでいた時期があったくらいです。

 ただし正直に書いておくと、アチェ・ガヨは当たり外れが大きい。安すぎる豆はコーヒーの風味がないスカスカの味になりがちです。逆に良い豆に出会えれば、その華やかな酸味と軽やかな苦みのバランスに感動するはず。豆選びに少し気を遣う必要はありますが、それだけの価値はある産地です。マンデリンほど毎日は飲みませんが、気合の入ったカフェに入ると「今日はあえてのアチェ・ガヨで」と飲みたくなります。

▶トラジャ(スラウェシ島)

 「日本人好みの味」と言われることが多いトラジャ。スパイシーで複雑な風味の中に、爽やかな酸味と深いコクが同居しています。

 実はこの豆、日本と深い縁があります。戦後に一度世界の舞台から姿を消した「幻のコーヒー」を、1973年に日本のコーヒー会社「キーコーヒー」がスラウェシ島に乗り込んでインフラ整備から農園再生まで手がけ、78年に「トアルコ トラジャ」として復活させたのです。インドネシアのコーヒーを日本人が世界に広めた、という事実は知っておいて損はないと思います。お土産としても非常に喜ばれる豆です。

▶ コピ・バリ キンタマーニ(バリ島)

 バリのコーヒーといえばキンタマーニ高原産が有名です。フルーティーで軽やかな飲み口が特徴で、観光客にも人気が高い豆です。

 筆者も過去にバリの山間にある、断崖絶壁ギリギリに建てられたカフェでこのコーヒーを飲んだことがあります。そして鮮明に記憶に残っているのです。あの味が忘れられないのか、いつ落ちるともわからないスリルが忘れられないのか、今となっては判然としませんが……(笑)。バリに行く機会があれば、ぜひ現地で飲んでみてください。雰囲気込みで美味しいコーヒーというのも、また一つの体験です。

▶フローレス・バジャワ(フローレス島)

 マンデリンやトラジャに比べるとまだ知名度は低めですが、スペシャルティーコーヒーの世界では注目度が上がってきている産地です。クリーンで繊細な甘みがあり、飲みやすいのが特徴。「これからの産地」として覚えておいて損はないと思います。ジャカルタの専門店でも扱いが増えてきていますので、見かけたらぜひ試してみてください。

▶パプア・ワメナ(パプア州)

 インドネシア最東端、パプアの高地で育てられた希少な豆です。流通量が少なく、専門店でもなかなかお目にかかれないことも。味わいはクリーンで甘みがあり、どこか土っぽいアーシーな風味が特徴です。「珍しいものを飲んでみたい」という方、コーヒー好きへのお土産を探している方には特におすすめしたい一品です。

■産地を意識して飲んでみて

コーヒー豆は産地やローストの状態で味が変わる=筆者撮影

 「コーヒーなんてどれも同じでしょ」と思っていた方も、産地を意識するだけで飲む楽しさがぐっと広がります。インドネシアは世界屈指のコーヒー産地。せっかくここに住んでいるのだから、この恵まれた環境を楽しまない手はありません。もしかすると一生の趣味になるかもしれませんよ。

 まずはマンデリンか、トラジャあたりから試してみるのが個人的なおすすめです。そのうちアチェ・ガヨの酸味にハマったり、パプアの希少豆を探しに行ったりしているかもしれません。コーヒーを入口に、インドネシアの地理や文化に興味が広がっていくのも、また楽しいものですよ。


jakameshi プロフィール情報

 ジャカルタ在住10年超。国際結婚組。北海道生まれ。冷え性が辛くて冬がないインドネシアに来ました。過去に月間10万PV程度の「ジャカルタ飯」という情報ブログを運営していました。久しぶりに物書きができて嬉しいです。ジャカルタを中心に、インドネシア在住の皆さんの食と酒が楽しくなるような情報をお届けします。