グルメ 体臭が変わるほど臭いけど美味い!ープテ豆とジェンコル、インドネシアの個性派食材
今回ご紹介するのは、インドネシアの食文化を語る上で外せない2大クセつよ食材、「プテ豆」と「ジェンコル」です。どちらも「臭い」という評判が先行しがちですが食べると世界が変わる、そんな食材です。まだ試したことのない方、ぜひこの記事を読んで挑戦してみてください。【フードライター ジャカ飯(jakameshi)】
■プテ豆(Petai)

インドネシアで長く生活していると、必ずどこかで出会うことになる巨大な豆があります。市場やスーパーで緑色のサヤがずらりと吊るされているのを見かけたことはありませんか?見た目はソラマメによく似ていますが、それよりもずっと大きく、まるで「ジャックと豆の木」に出てきそうな立派な房に、大きな豆がぎっしり連なっています=写真①。
その正体はプテ豆(Petai / Pete)。日本語で「ネジレフサマメ」と呼ぶそうですが、人生で一度も聞いたことのない言葉ですね。
スーパーや市場では良い房を選び、自らもぎ取って購入するのが定番スタイルです。むいた状態で売られていることもあります。
初めてプテ豆を食べた時、その美味さに素直に感動しました。しっかりとした歯ごたえ、ニンニクを思わせる独特の香り、そしてソース(というかサンバル)の味に負けない豆自体の濃い風味。これは只者ではないぞ、と感じたことを覚えています。
■食べ方はいろいろ

インドネシアではナシゴレンに加えたり、房ごとgoreng(素揚げ)してサンバルで食べたりと、さまざまな使われ方をしています。インドネシアの方は生のまま食べることもありますが、プテ豆好きの筆者でもそれはちょっと……というくらい、生は香りが相当強いですね。
個人的に最もおすすめしたい食べ方は「プテ豆のバター炒め」です。北海道育ちの筆者には「ソラマメのバター醤油炒め」という懐かしい味があるのですが、あれをプテ豆でやるとどうなるか。答えは「最高」です。加熱することで香りがいい感じに落ち着いて、バターのコクとプテ豆の濃い味が絡み合う。これがビールに合うことといったら……もう言葉になりません。もちろんバターの代わりにサンバルソースをあえるのもおすすめです=②。
ただし、プテ豆には「覚悟」が必要です。納豆でもキムチでもそうですが、プテ豆も食べると口から、そして毛穴からプテ臭が漂い始めます。もちろんお手洗いでもしっかりとプテ臭の洗礼があります。外でプテ豆を楽しんだ後はエチケットに気をつけましょう。
■ジェンコル、豆の王

プテ豆だけでも十分に個性的なのですが、そこをさらに超えてくる豆があります。その名もジェンコル(Jengkol)=③。日本語では「ジリン豆」と呼ぶそうですが、こちらも人生で一度も使ったことのない言葉です。
個人的な印象ではありますが、プテ豆よりもさらに好き嫌いが激しく分かれる食材です。
インドネシア人に「ジェンコルが好き」と話すと、「え〜本気?君、ほんとに日本人?」みたいなキワモノ扱いをされることも珍しくありません。それはそれで、相手の印象に残るのでちょっとうれしかったりもするのですが。

プテ豆と違い、筆者は自分でジェンコルを料理することはありません。もっぱら食べるのはパダン料理屋です。カウンターにずらりと並んだ小皿の中を眺めていると、必ずそこにジェンコルがある。見つけたら100パーセント取ります。
ジェンコルを初体験する前から「臭い食べ物」とは聞いていたのですが、初めて食べた時の正直な感想は「そこまで臭くない」でした。今でもそれほど臭いとは思っていません。その代わりにあるのが「妙な苦味」。ゴーヤほど激しい苦味ではなく、ほんのりと苦い。そして食感はぐにゃっとしている。それがパダン料理の辛さと混ざり合うと、絶妙なバランスのおかずになるのです=④。
■食べたら必ずバレる
ただし、食べた後はしっかりと体臭がジェンコル臭くなります。こっそり食べて帰っても、妻に「ジェンコル食べたでしょ」とバレるくらいには臭い(ちなみに妻はジェンコルもプテ豆も嫌いです)。
どんな匂いかというと、プテ豆よりもさらに形容が難しいのですが……玉ねぎとドリアンを混ぜて少し硫黄を加えた、とでも言うべきでしょうか。もっとわかりやすく言うと、おしっこの匂いが猫と張り合えるレベルに達します(猫を飼っていない人にはわかりにくくてごめんなさい)。縄張り争いで勝てるかもしれません。これだけでジェンコルの「振り切れ具合」がお分かりいただけるかと思います。
■冷えたビールと一緒に
プテ豆にジェンコル。今回紹介した2つの豆は、インドネシアの食卓でもっとも身近にある「クセつよ食材」の双璧です。探せばまだまだ個性的な食材が出てくるかもしれませんが、まずはこの二つからどうぞ。
そして、もしあなたがのん兵衛なら、ぜひ冷えたビールと一緒に試してみてください。プテ豆のバター炒めとビール、ジェンコルのパダン料理(持ち帰りましょう!)とビール。これ以上の組み合わせはそう多くありません。のん兵衛でない方も、一度は体験する価値があります。もしかすると、あなたを一生のとりこにしてしまうかもしれませんよ。
jakameshi プロフィール情報

ジャカルタ在住10年超。国際結婚組。北海道生まれ。冷え性が辛くて冬がないインドネシアに来ました。過去に月間10万PV程度の「ジャカルタ飯」という情報ブログを運営していました。久しぶりに物書きができて嬉しいです。ジャカルタを中心に、インドネシア在住の皆さんの食と酒が楽しくなるような情報をお届けします。