インタビュー インタビュー調査をAIで迅速化—モニタス、市場把握で駐在員の負担軽減

マーケティングリサーチ大手マクロミルの子会社モニタスは、人工知能(AI)を活用したインタビューサービス「Listen Labs(リッスンラボ)」のインドネシア展開を強化している。実在の消費者にAIが質問し、手間のかかる数十~数百人規模の定性調査を短期間で実施できるのが特徴だ。同社の青木卓己氏に、仕組みや現地での活用可能性を聞いた。
■モニタス 青木氏へのインタビュー

——どのようなサービスか。
◆AIが消費者に直接インタビューし、生の声を聞き取る。通常の調査は対象者との日程調整や会場の確保、海外では現地の言葉を話せる調査員が必要で、人数が増えるほど時間と人手がかかっていた。
「リッスンラボ」はAIが複数の回答者に同時にインタビューするため、数百人規模まで対象を広げられる。深く話を聞く定性調査の良さを生かしつつ、多くの声を効率的に集められる。現地の約80万人のアンケートモニターを活用できるのも強みだ。
——海外調査では言語面のメリットも大きい。
◆日本語で設計した質問をインドネシア語に翻訳して提示し、回答を日本語の要約で確認することもできる。また、従来は現地の言葉を話す調査員に質問の意図や調査の進め方を伝える必要があったが、AIなら一律の条件で質問できるため、インタビュアーによる品質のばらつきを抑えやすい。
——調査期間はどの程度短縮できるのか。
◆これまでは1カ月程度かかる案件もあったが、早ければ1、2週間で完了する。日本の飲料メーカー向けに187人、携帯電話会社向けに270人から、それぞれ4日間で回答を集めたケースがある。
調査後は発言の記録以外にも、要約や数量データも出力される。集めた回答をもとにAIと対話しながら追加で分析できるほか、動画から特定のテーマに関する発言場面だけを抜き出して、短い動画にまとめる機能もある。
——AIが質問を作ることも可能なのか。
◆可能だ。インタビューは単に質問を並べるだけでなく、最初に「何を知りたいのか」を明確にして流れを組み立てる。
例えば、回答者が「車を購入した」と答えた場合、新車か中古車か、なぜそれを選んだのかといった追加の質問が必要になる。こうした質問を回答内容に応じてAIが行うよう設定できる。
こうした設計は、これまでは経験のあるモデレーターらが担ってきた部分だが、AIが補助することで、調査経験が少ない企業の担当者でも企画を進めやすくなる。
——インドネシアの日系企業では、どのような利用を想定しているのか。
◆現地で販売する商品・サービスへの需要や、ブランドの見られ方の確認を想定している。新商品の反応やイメージの変化を調べたり、市場の変化に合わせて消費者の声を短期間で集めることができる。
海外拠点には必ずしもマーケティングの専門家が赴任しているとは限らず、営業や財務など別職種から赴任し、市場把握まで任される人もいる。言葉や文化が違う現地で調査を設計し、消費者を集めて意見を聞く負担は大きい。AIやセルフ型の仕組みでこうしたハードルを下げたい。
——従来の市場調査とは使い方も変わりそうだ。
◆従来型の調査も引き続き必要だが、全ての意思決定に時間をかける必要はない。
例えば商品企画の途中で「この考えは消費者に受け入れられるか」と確認したい時に、数百人の声を短期間で集める。あるいは会議で出た仮説をすぐ消費者に確かめ、次の意思決定につなげる。時間やコストで難しかった使い方が、AIの進化で現実的にできるようになった。詳しい分析結果を待つだけでなく、その時々で必要な情報を素早く得られることに大きな価値がある。
——AIインタビュー以外にも、企業が消費者の声をより手軽に集める方法はあるのか。
◆インドネシアでは弊社の自社パネルと、セルフ型リサーチツールを組み合わせ、現地の消費者に素早くヒアリングできる複数の仕組みを提供している。
今までの市場調査では、調査会社への相談や見積もりの後、調査を開始するのが一般的だった。セルフ型なら担当者自身が必要なタイミングで設定できるので、商品アイデアへの反応、広告やパッケージへの意見など、「現地で実際にどう思われているか」と感じた時にすぐ確認できる。普段の意思決定の際に、消費者の声をもっと身近に活用してもらいたい。