インドネシアニュース 「防災DX」導入へ調査開始ーSNSで補完、日系3社が連携

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 防災情報プラットフォームの運営を手がけるインスピレーション・プラスなどはこのほど、インドネシア国内での災害対応能力の向上に向けたサービス導入の調査事業を始めた。SNSでの投稿や水位計のデータなどを組み合わせ、災害の予測から現場対応までを一貫して支援する情報統合・分析基盤の導入可能性を、現地の防災関連機関を対象に検証する。

SNS投稿の収集・解析を手がけるスペクティのサービスは災害防止に使用されている=スペクティ提供

■導入目指し国内で調査

 この調査事業は経済産業省の「令和6年度補正 グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)」として採択され、2月5日に公表された。

 同社が展開する統合情報システム「EDiSON(エジソン)」と、SNS投稿の収集・解析を手がけるスペクティ、斜面防災計測機器を扱うオサシ・テクノスの3社が連携し、災害リスクの予測情報と現場からの情報を統合する「統合災害情報プラットフォーム」のインドネシアでの展開可能性を検証する。

 調査期間は1年間。東ジャワ、西ジャワ、ジョグジャカルタで実施し、インドネシア側のカウンターパートとして国家防災庁(BNPB)などへのヒアリングを重ねている。導入されれば、現地防災当局の避難指示決定などに役立つ可能性がある。

統合情報システム「EDiSON(エジソン)」のイメージ画像=同社提供

■データでリアルタイム監視

 スペクティはこれまで、人工知能(AI)を活用したリアルタイム防災・危機管理サービス「Spectee Pro」を日本で展開。火災や事故などの発生時にX(旧ツイッター)やフェイスブック、インスタグラムなどのSNSに投稿される画像や動画を収集・解析し、位置を特定したうえで地図上に表示。気象データなどさまざまなデータと統合することで、電話や無線などの通報より早い状況把握を可能にする。

 インドネシアでは洪水や地滑りなどの災害が頻発するが、原因となる河川では水位計や監視カメラが整備されていない地点も少なくない。スペクティのシステムが導入されれば、地元住民がSNSに投稿した情報を交通や気象データと重ね合わせることで、総合的な現状把握が可能になる。

 スペクティの担当者は「フィリピンではすでに導入実績がある」と説明し、今回のインドネシアでの調査を「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国向け防災技術の社会実装を加速させる取り組みの一つとして位置づけている。

 一方、斜面防災事業を手がけるオサシ・テクノスの担当者は「最優先に守るべきものを整理し、明確にすることが重要」と指摘。「道路などのインフラを守るのか、住民を守るのかによって事業設計は変わる。予算の制約もあり、監視対象を絞り込むことも重要になる」と話す。

 水位計などデバイスの設置数量や場所などの導入規模については、調査の中で必要機器や運用計画を具体化していくという。

オサシテクノス社がスリランカで設置した地表面傾斜計=同社提供

■中央と地方のデータ断絶

 これまでの調査では、データ収集の難しさが浮き彫りとなっている。具体的には、①入力すべき基礎データの不足②データ形式の不統一と変換作業の負担③中央と地方の防災当局間のデータ連携不足――などが課題だ。加えて、河川にセンサーが設置されていない地点が多いことや、設置後の機器盗難リスクも普及の障害となり得る。

 今回の調査は防災当局向けだが、国内の工業団地や物流網でもこうした統合防災情報システムは活用できる。冠水や交通遮断は企業の操業や通勤、サプライチェーン(供給網)に直結するためだ。システムの導入により、企業の避難指示や災害時の災害時の事業計画(BCP)の策定などに役立つことが期待される。