文化・くらし・コミュニティー JJC個人部会 「家族」から個別加入へ刷新ーニーズ多様化、若年・単身層に対応

Share facebook はてなブックマーク note X (Twitter)

 インドネシア最大の日本人コミュニティーであるジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)。その中で在留邦人の生活を支える「個人部会」が、これまでの家族単位ではなく、個人でも加入できるように制度変更され、会費も見直された。背景には在留邦人のライフスタイルの多様化と、コミュニティーのあり方の変化がある。

ファッション誌やビジネス誌などをそろえた雑誌コーナー=ジャカルタ日報撮影

■設立して半世紀以上

 個人部会は1970年の設立以来、在留邦人の生活基盤を支える役割を一貫して担ってきた。安全や医療といった生活に不可欠な情報提供に加え、日本人同士のネットワーク形成の場としても機能している。

 しかし近年はインターネットやSNSの普及で情報収集や交流の手段が大きく変化。JJC個人部会担当の福田藍氏は「より充実した生活を実現するための場として、イベントや交流機会の提供に軸足が移っている」と話す。

 実際、同部会では図書館の運営をはじめ、交流カフェや各種セミナー、文化・スポーツクラブなど、多様な活動を展開している。特に子育て世帯の利用が多く、読み聞かせといった乳幼児向けイベントは母親同士の交流の場としても定着した。一方で、単身赴任者や若年層にとっては、従来のサービスが必ずしも十分とは言えない側面もあった。

■会費を半額以下に

掲示板ではさまざまな情報をのぞくことができる=同

 こうした課題を受け、JJCは従来の「家族会員」制度を見直した。これまでは家族単位での加入が前提となり、年会費も相応の負担となっていたが、「家族内でもニーズは多様化している。例えば配偶者のみが活動に参加したい場合でも、従来は家族全体での加入が必要だった」(福田氏)という課題に対応するためだ。

 新制度では「大人会員」と「子ども会員」に区分し、個別加入が可能となった。必要な人だけが柔軟に利用できるようになり、企業の法人会員に属する個人には会費の割引も適用され、より参加しやすい環境が整えられた。

 JJCは今年4月から個人部会の会費を半額以下に引き下げたが、福田氏は「値下げだけで会員が増えるとは考えていない」と冷静だ。むしろ今後は、若年層や単身者を含めた幅広い層に向けたサービスの拡充が不可欠だと指摘する。コロナ禍で一時減少した会員数は既に回復し、イベント活動も再び活発化しているが、さらなる成長には新たな価値提供が求められている。

■会員が居場所作る

子どもと一緒に楽しめるスペース。絵本も充実している=同

 個人部会の特徴は、単なるサービス提供にとどまらない点にある。多くの活動はボランティアによって企画・運営されており、会員自らがコミュニティーを形作る主役となっている。福田氏は「参加するだけでなく、自分たちのやりたいことを実現する場として活用してほしい」と強調する。実際、小中学生の居場所づくりを目的とした「子ども会」など、会員の声から生まれた取り組みも少なくない。

 在留邦人にとって、生活環境や人間関係の構築は依然として大きな悩みだ。特に帯同する家族や会社勤めをしていない人にとっては、日常の居場所や交流機会をどう探すかが切実な問題となる。福田氏は「個人部会を利用してもらうことで現地の生活がより豊かになる。ぜひ知ってもらい、活用してほしい」と呼びかける。

 半世紀以上の歴史を持つJJCは、在留邦人組織という枠を超え、現地に暮らす人々の社会基盤として機能してきた。今回の制度改革は、その役割を次の時代に適応させるための一歩といえる。多様化する在留邦人のニーズに応えながら、より開かれたコミュニティーへ──。個人部会の挑戦は続く。

 個人部会のURLはhttps://jjc.or.id/kojin/