インタビュー ジャカルタで「推し活」の質高めるーMMAJ・山中実行委員長に聞く

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 日本アニメのIP(知的財産)イベント「Merah! Merah! Anime Japan‼(MMAJ)」はインドで始まり、現地での反響を受けてインドネシアへと展開した。実行委員長の山中崇之氏が、イベント立ち上げの経緯やインドネシア市場での手応えについて語った。

実行委員長の山中崇之氏=ジャカルタ日報撮影

 ——インドでイベントを立ち上げた経緯は。

 ◆私が2回目のインド駐在を始めたのはコロナ禍直後だった。インドはコロナ禍で非常に多くの犠牲者を出し、ロックダウン(都市封鎖)の期間も長期に及んだ。一方でコロナ禍での巣ごもり需要もあり、現地の人々の間で日本のアニメやJポップなど、日本のポップカルチャーを好きになる人が増えていると感じた。

 元々、私自身が日ごろからアニメを好んで見たり、アニソンを聞き、アイドルの「追っかけ」をしてきた。日本の「推(お)し活」の幅は世界で一番広いと思っている。単に作品を見るだけでなく、グッズを買い、イベントに足を運び、ファン同士が集まって交流を深めるなど、多様な楽しみ方がある。

 しかし、海外では、こうした多面的な楽しみ方がまだ十分に浸透していない。日本のコンテンツを楽しむのであれば、その「楽しみ方の幅広さ」も知ってほしい。現地ファンに具体的な選択肢を提供したいと考えたのが、イベント企画の原点だ。

 ——「IPの保護」も重要なテーマに掲げている。

 ◆アニメなどのIPのイベントには非公式のファンイベントと、権利元が関わる公式イベントがある。ファンイベントの良い点はファン同士で自由に楽しめることだが、公式イベントには権利元の権利を守りながらIPを社会に広めるという役割がある。インドでは、この公式イベントが足りていないと感じた。そこで、ファンイベントの熱量を生かしつつ、公式の枠組みを「車の両輪」として機能させるイベントを作りたいと考え、現地の有志とともに立ち上げたのが、2024年にデリーで初開催したMMAJだ。

 ——インドネシア開催のきっかけは。

 ◆今回のイベント運営を手がけたCTコープグループの存在が大きい。インドでの第2回イベントを視察に訪れ、「この熱狂的なムーブメントをジャカルタでも起こしたい」と声をかけてくださった。そこから同グループのサポートを受け、数カ月という異例の短期間で今回のジャカルタ開催を実現させることができた。

 ——本業もある中で、海外でイベントを立ち上げる原動力は何か。

 ◆仕事で疲れた後でも、趣味だと不思議と疲れない。私は日本のポップカルチャー、アニメ、漫画に強い関心があり、その魅力を海外の人にも知ってもらいたいという一心でやっている。義務でなく、「好きでやっている」というところが大きいと思う。

会場内のカプセルトイ(ガチャガチャ)も大人気=同

 ——実際にインドネシアで開催して、手応えは。

 ◆準備段階から、インドとは明らかに違う手応えを感じていた。まず、インドで感じていた「推し活」の狭さに比べ、インドネシアには既に多くの選択肢が存在している。

 象徴的だったのは、今回の出展者の多くが日本のおもちゃやフィギュア、グッズなどを、正規のライセンス契約に基づいて適正に扱っている点だ。これは、日本からインドネシアへの権利処理のルートがすでに確立され、正規品の供給網(サプライチェーン)が機能している証拠だ。この点はインドや他の新興国市場よりも一歩進んでいると感じた。

 ——インドとはイベントの役割が異なるのか。

 ◆インドでは推し活の選択肢そのものを広げることが大きな課題だった。これに対し、既に多様な楽しみ方が定着しつつあるインドネシアでは、その「中身の充実」が重要になる。

 来場者にはアニメを見る、グッズを買う、イベントに参加する、ファン同士で楽しむ――という一連の行動が、一つの「消費体験」としてつながっていることを感じてもらいたい。

 ——企業間(BtoB)での商談の面でも進展はあったか。

 ◆今回は一般消費者向けのBtoCのイベントであると同時に、BtoBの商談にも力を入れた。出展企業の中には、アニメやキャラクター関連だけでなく、自動車や文房具などなど一見するとコンテンツ産業とは直接関係がないように見える企業も名を連ねている。そうした企業が参画することで、趣味と実用品、購買活動が一連のものとしてつながっていることを示せる。

 今回も多くの商談が行われているが、その数はインドで昨年実施した時よりも数段多い。インドネシアでは成長のスピードが速いと感じる。

 ——来年以降も継続する考えは。

 ◆今回のイベントを通じて来場者や出展者、パートナーの方々から「楽しかったので来年も開催を」という声を多くいただければ、継続できる可能性は高まると思う。