インドネシアニュース 燃料3割値上げで民間スタンド混乱ーBP、VIVO…輸入統制が足かせに

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 国営石油プルタミナ傘下の販売会社プルタミナ・パトラ・ニアガが10日、非補助金燃料を3割超引き上げた。これをきっかけにジャカルタ首都圏(ジャボデタベック)ではシェルなどの民間ガソリンスタンド(SPBU)で在庫切れが相次いでいる。一部では値上げ直前の駆け込み購入も発生し、昨年来問題視されている民間向け燃料輸入枠の割り当て不足が改めて表面化している。

シェルの店舗ではディーゼルのみの販売を余儀なくされるなど、民間各社の在庫不足は深刻だ=ジャカルタ日報撮影

■在庫切れで現場混乱

 今回の価格改定で、オクタン価(RON)92のガソリン「プルタマックス」は1リットルあたり1万2300ルピアから1万6250ルピアに、RON95の「プルタマックス・グリーン」は1万2900ルピアから1万7000ルピアにそれぞれ引き上げられた。一方、政府が価格をコントロールする補助金対象の「プルタライト(RON90)」は1万ルピア、補助金軽油「バイオソーラー」は6800ルピアで据え置いた。これを受け、シェルやBP―AKR、VIVOの民間各社も同日、プルタミナの価格帯に合わせて一斉に値上げを実施した。 

 しかし、値上げが実施された10日前後から、民間各社の一部店舗では燃料の在庫が切れ、営業停止や販売品目の縮小を余儀なくされる事態が相次いでいる。店頭にガソリンの売り切れを知らせる掲示を出したり、ディーゼル燃料のみに限定して販売するなど、供給の現場では混乱が広がっている。

■国営・民間で隔たり

プルタミナは10日から非補助金燃料の価格を3割超引き上げた=アンタラ通信

 民間SPBUにおける在庫不足の背景には、構造的な需要増と供給のミスマッチがある。昨年、プルタミナ製燃料の品質に対する不信感や、補助金燃料「プルタライト」購入時のQRコード登録義務化を背景に、消費者の一部が民間への利用に切り替えた。民間各社への需要が拡大する一方で、政府による燃料輸入枠の伸びが抑制されたことが、慢性的な在庫不足を招く要因となった。

 こうした事態を受け、政府は民間各社に対し、プルタミナを通じた追加輸入・調達を許可。しかし、調達を巡る実務交渉は難航した。VIVOはプルタミナが調達したベース燃料にエタノールが含まれていることを理由に購入を見送り、BPもエタノール非含有の燃料を求めたほか、国際制裁リスクへの抵触を避けるため厳格な原産地証明(COO)の提示を要求したが、条件面で合意に至らなかった。

 政府やプルタミナ側が「国内全体の総量として燃料は確保されている」と主張しても、国際ブランドを展開する民間各社にとっては、自社基準の品質保証やコンプライアンス(法令順守)の担保が販売の前提となるため、国営主導の供給網との間で調整がつかなかった格好だ。

■依然として国営中心

 今回の供給混乱は、インドネシアの非補助燃料市場における制度的な矛盾を浮き彫りにした。

 消費者の間ではプルタミナ以外の選択肢を求める声が高まっているものの、輸入枠や供給の制度設計は依然としてプルタミナ中心が前提だ。結果として民間は販売機会をロスし、消費者は価格と供給の両面で選択肢を狭められる状況が続いている。

 市場関係者の間では、自由化を進めるエネルギー市場において、国家による資源統制のあり方が問われているとの指摘が出ている。今後の焦点は、政府が実需に合わせて民間向け輸入枠を柔軟に拡大できるか、また、民間が求める品質や原産地証明、価格条件の透明性をプルタミナ側が確保できるかへ移る。