注目の新規IPO銘柄 注目の新規IPO銘柄⑥ーヘルスケアOEMで需要つかむ / ブリギット・ビオファルマカ・テクノロギ
ブリギット・ビオファルマカ・テクノロギ(OBAT)は、ハーブ製品や化粧品、機能性・ボタニカル(植物由来)飲料などの受託製造(OEM)を手がけている。2015年に設立され、18年に商業生産を開始、25年1月にインドネシア証券取引所(IDX)へ上場した。

■医薬品からコスメまで
OBATは自社ブランド商品の販売ではなく、独自のブランド立ち上げを目指す企業などからのOEMを主力とする。研究開発から原料設計、製造、品質管理、包装、納品までを一貫して引き受けることで、自社工場を持たずに商品化を目指す企業の需要を取り込んできた。
主な製品はハーブや蜂蜜などを使った伝統的な医薬関連製品のほか、スキンケアやメイクアップ製品、粉末飲料、茶類など多岐にわたる。OEM以外にも、処方設計や商品開発の段階から深く関わり、顧客の新ブランド立ち上げを支援する体制に強みを持つ。また、製造設備や品質管理、各種許認可対応のアウトソーシングを求める企業に対し、実質的な生産基盤の役割も担っている。
25年通期の売上高は約1601億ルピアで、前年の約1206億ルピアから3割強増加した。一方、純利益は約226億ルピアと前年の約294億ルピアから減少した。受注拡大に伴って粗利益は増加したものの、営業利益が縮小しており、受注の伸びがそのまま最終利益の増加には結びつかなかった格好だ。
前年(24年)に利益が大きく伸びた反動もあり、25年は増収減益で、事業規模の拡大に対して収益性が低下した。上場を経て生産能力の拡張期に入ったことで、増産や営業体制の強化に伴う費用負担が増しているとみられ、今後は売上高の伸びだけでなく、利益率をどこまで回復できるかにかかっている。
■「ODM」転換がカギ
成長戦略の柱は、生産能力とOEM分野の拡大だ。新規株式公開(IPO)で調達した資金は、主に原材料の調達や増産、販売促進などに充てる。25年2月には中部ジャワ州スコハルジョで新工場を稼働させ、ハーブ系サプリメントのカプセルや液状製品などの生産能力を引き上げた。
これにより、化粧品や機能性飲料など既存分野と合わせ、顧客が商品企画から製造までを一括して委託できる体制を強化する。自社で研究開発機能を持ち、顧客の要望に応じた処方設計や新商品の開発まで引き受けることで、単純なOEMから付加価値の高い「開発型受託(ODM)」へと事業構造を広げる方針だ。
OEMには、自社ブランド商品の売れ行きに関わる直接的なリスクを負わない利点がある。インドネシアでは化粧品や健康食品を中心に新興ブランド誕生が相次いでおり、生産設備を持たない事業者からのOEM需要を確実につかめれば、顧客数と受注量のさらなる拡大が見込まれる。
ただ、最大の課題は、増やした設備を安定した利益につなげられるかだ。25年末の総資産は前年末から98・83%増加した。IPOによる資本増強や事業拡大を背景に資産規模がほぼ倍増した一方、新工場などへの投資が十分な受注と利益を生まなければ、資産の投資効率は低下する。
■利益率改善に注目
OEMビジネスは、顧客ブランドの新規獲得や継続発注の動向に業績が左右されやすい。今後は品質管理や当局の規制にも目を配りながら、顧客数の拡大と同時に、採算性の高い案件をいかに確保できるかも重要だ。
新工場の稼働率向上を含め、増加した受注を利益率の改善へ還元できるか、研究開発を含む高付加価値型の案件をどこまで増やせるか、そして拡大した資産と資本を効率的に活用できるかが、市場におけるOBATの将来への評価を分けそうだ。