注目の新規IPO銘柄 注目の新規IPO銘柄⑦ー投資と財務健全性 両立が焦点 / ユピ・インド・ジェリー・ガム(YUPI)
ユピ・インド・ジェリー・ガム(YUPI)は、グミを中心とするソフトキャンディーの製造・販売を手がけるインドネシアの食品メーカーだ。1995年に設立され、96年に商業生産を開始。西ジャワ州ボゴール県を本拠地に事業を拡大し、2025年3月にインドネシア証券取引所(IDX)へ上場を果たした。

■輸出が収益の柱
同社は自社の生産品と競合しない分野で受託生産も手がけている。96年には欧州の菓子メーカー、トローリとの提携などを機に技術力を高め、ハラール対応を含む品質管理を徹底して国内外に販路を拡大してきた。現在はアジアや北米、中東など世界各地へ商品を輸出しており、輸出売上高は全体の26・4%と収益の柱の一つとなっている。
上場初年度となった25年通期の業績は、売上高が2兆9358億ルピア、純利益が6131億ルピアと、いずれも前年を小幅に下回った。国内・輸出ともに売上が減少しており、高い収益水準は保っているものの、上場を機に成長ペースの鈍化が顕在化した格好だ。
■新工場にかける増産
こうした足元の足踏みを打破する成長戦略の核が、生産能力の増強だ。現在は西ジャワ州などの2拠点で生産しているが、IPO(新規株式公開)で調達した資金の大半を投じ、東ジャワ州ンガンジュクで新工場の建設を進めている。
投資額は約4375億ルピアに上り、早ければ26年中にも稼働する見通しだ。新工場が本格稼働すれば旺盛な国内需要への対応力が向上するだけでなく、海外市場へのさらなる輸出拡大の余地も広がる。また、25年3月にはコンフェクショナリー・コンシューマー・プロダクツ・インドネシアが支配株主となり、資本構成も大きく刷新された。
■残る財務リスクの課題
もっとも、今後の焦点は設備投資を実際の売上と利益の成長につなげられるかだ。
懸念材料は財務基盤の変化にある。銀行借入の増加などを背景に、25年末の総負債は前年末の3倍超へと急増した。さらに、同社は25年中に大型の現金配当を実施したため自己資本が減少。新工場への投資を継続する一方で借入負担が増しており、今後の成長投資と株主還元、財務健全性のバランスをどう取るかが極めて重要になる。
また、販売先・仕入先ともに一部の大口取引先への依存度が上がっており、顧客の発注動向や原材料の価格変動リスクを直接受けやすい構造も課題として残る。
■稼働率が収益左右
ユピの強みである高いブランド認知力に加え、幅広い販路を持つ海外市場は、国内の消費動向に左右されにくい安定性を持つ。だが、売上高が伸び悩む局面での大型投資は、新工場の稼働率が十分に上がらなかった場合、巨額の固定費負担が収益を圧迫する「諸刃の剣」ともなり得る。
上場企業として開示体制や企業統治(コーポレートガバナンス)を定着させつつ、増加した負債をコントロールし、高い収益性を維持できるかが、YUPIの上場後の成長を判断するポイントになりそうだ。