インタビュー 「成長につながる循環を」ー松岡健・西京銀行頭取

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 西京銀行は今年4月にジャカルタで現地法人を設立するなど、インドネシアでの事業展開に注力している。今回のダルマプルサダ大学との連携について、同行の松岡健頭取は「外国人材を単なる労働力として受け入れるのではなく、将来的に現地法人や海外事業を担う幹部候補として育成する」構想を語った。

大学との連携について意欲を語る松岡頭取=ジャカルタ日報撮影

 ——ダルマプルサダ大学との連携の狙いは。

 ◆一番大きいのは「言葉の問題」だ。技能実習や特定技能で来日する人材は半年ほど日本語を学んでいるため、ある程度日本語ができるが、一般的なインドネシアの大学で、日本語ができる学生は少ない。

 その点、ダルマプルサダ大学は長年にわたり日本語教育に取り組んできた実績があり、専門の学科もある。日本で働くにはまず、日本語の習得が前提となる。言葉ができるかどうかで、業務の習得速度はもちろん、日本社会や地域コミュニティーへの溶け込み方も変わってくる。そうした観点から、日本語教育の基盤がしっかりしている同大学との連携は極めて重要だと判断した。

 ——山口県側では、インターンとして受け入れたい企業はあるのか。

 ◆ある。企業にとっても、学生を受け入れることで、将来的な人材育成やインドネシア展開を具体的に考えるきっかけになる。学生にとっては日本語力を生かしながら、実際の企業現場で学ぶ機会になるはずだ。

 ——企業への紹介では、どのような業種を想定するのか。 

 ◆主に製造業だ。山口県にはコンビナート群があり、そこに付随するタンクや配管、プラント設備などの中小企業が多数存在する。日本では人口減少に伴って市場が縮小し、こうした分野の仕事が将来的に減少する懸念がある。しかし、彼らが培ってきた技術力そのものは高い。

 インドネシアでは今後、コンビナートやプラント、電力、上下水道、住宅といった大規模なインフラ需要が増えるとみており、山口県の中小企業が持つ技術は、国内市場が縮小したとしても、これからのインドネシアで必要とされる可能性が高い。

 ——インドネシア人学生が山口県で働くことが、将来の技術継承につながるのか。

 ◆その通りだ。インドネシアの学生に県内の企業で働いてもらい、日本の技術や仕事の進め方を学んでもらう。そして、その技術を身につけた人材が将来的に母国へ戻り、日本企業の現地拠点でマネージャーや経営幹部候補として活躍する。そうした循環構造を創り出したい。

 山口県の中小企業がインドネシアに拠点を作ろうとしても、まず課題になるのが「人材」だ。技術はあっても現地で生かせる人間がいない。日本から長期にわたって出張することも簡単ではないので、インドネシア人材に来日してもらい、将来的に現地での事業を担ってほしいという意味がある。

 ——インドネシア経済の現状をどう見ているか。

 ◆ルピア安などマクロ面での問題があることは理解している。しかし、我々が見るのはもっとミクロな部分だ。インドネシアは人口が増え続けており、車も住宅もこれからの需要が大きい。一方、日本は人口減少が続いている。そういった意味で日本とインドネシアは構造的な補完関係にあると考える。足元の金融市場の変動よりは、長期的な人口動態と市場の成長性を重視している。

 ——最終的な目標は。

 ◆山口県とインドネシアの間で、人材、技術、事業が循環する仕組みを作ることが重要だ。

 インドネシアの学生が山口県の企業で働き、日本語や企業文化、技術を身に付けて帰国し、日本企業の現地法人や関連事業の幹部候補として活躍する――そのような「人材・技術・事業」の循環づくりを目指したい。

 県内の企業にとっても自社技術をインドネシア市場で生かし、新たな販路を拡大することにつながる。単なる「人手不足への対策」ではなく、企業の技術継承とインドネシアという市場への展開を同時に進める取り組みにしたい。