インタビュー AIエージェントをインドネシアへーソフトバンクの鄭弘泰氏インタビュー

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 ソフトバンクが、7月1、2日に開催される企業向けB2BソフトウエアやSaaS(サービスとしてのソフトウエア)に特化したイベント「B2Bテックアジア・インドネシア2026」にプレミアムスポンサーとして参加する。同社が前面に打ち出すのは、法人向けに独自開発したAI(人工知能)エージェント基盤「AGENTIC STAR(エージェンティック・スター)」だ。スポンサー参加の背景や今後の展開について、同社法人統括グローバル事業本部海外ビジネス開発統括部の鄭弘泰・統括部長に聞いた。(ジャカルタ日報編集長 赤井俊文)

AIエージェントの可能性を語る鄭統括部長=同社提供

 ——スポンサーとして参画する狙いは。

 ◆ソフトバンクはグループを挙げてAI事業を推進している。当社の統括部はグローバル事業の展開や開発を担っており、その中でインドネシアは極めて重要な市場だと見ている。

 インドネシアは人口規模が大きく、デジタル経済も成長しており、AIへの関心も高い。8割程度の人がAIに触れているというデータもあり、AIエージェント活用に大きな可能性がある市場だと考えている。

 今回のスポンサー参加を通じ、金融、製造、小売、物流、教育といった現地企業の課題に対し、エージェンティック・スターを中心としたサービスの実装を進めたい。現地パートナーとともに、AIの活用事例を共創する、その足がかりになると期待している。

 ——来場者や出展企業にアピールしたい点は。

 ◆一般に普及している生成AIは、質問すると答えが返ってくる「一問一答型」の使い方が多い。一方、エージェンティック・スターは、目的を与えると自ら考え、計画し、実行する。いわば「次世代型・実行型」のAIエンジンだ。あたかも優秀な社員がもう一人加わったかのようで、ぜひ実際に見ていただきたい。

 もう一つの特徴は企業向けに特化していることだ。企業がAIを本格導入する際、利便性だけでは不十分で、セキュリティーや既存システムとの連携が極めて重要になる。エージェンティック・スターは自社開発であり、こうした点を重視する企業のニーズにも合致する。

 当日はブースも出展する。来場者には、自社のどの業務にAIエージェントを活用できるのかを想像していただき、当社と一緒に議論してもらいたい。

 ——具体的にどのような活用の方法があるのか。

 ◆例えば金融分野では、金利キャンペーンや金融商品に関する情報を自動で収集し、新たな商品の開発に生かすことができる。営業担当者が情報を集め、顧客企業に合わせた融資商品を提案するような業務にも使えるだろう。

 これまで人が労働集約的に情報を集め、考え、分析し、提案していた業務を自動化できる点が大きい。企業や業界ごとに活用シーンが異なるため、どこにニーズがあるのかを探っていきたい。

 具体的な事例では、お客さまの要望を受けて居酒屋向けアプリを作った。メニューや下書き、画像などの情報を渡し、「アプリを作って」と指示するだけで、アプリが自動生成される仕組みだ。開発速度が11倍になったという実例もある。

 コード生成やアプリ開発といった分野でも、労働集約的な作業を短時間で進められる可能性がある。

ソフトバンクが提供する企業向けAIエージェント基盤「AGENTIC STAR(エージェンティック・スター)」=同社提供

 ——インドネシアでは最低賃金が上がっている。エージェンティック・スターは省人化やコスト対応の手段になるのか。

 ◆当社としては、単なるコストカットというより、生産性向上や競争力強化、ビジネスモデルの変革に軸足を置いている。これまで企業のIT導入はSaaSを導入し、それに合わせて業務を組む形が中心だった。今後は、AIを中心に業務を組み立てるフェーズに変わっていくと見ている。言い換えれば「AIを起点とした業務設計」の時代になるということだ。

 インドネシアでも賃金は上昇していると聞いている。そうした中で、AI需要は今後さらに強まると考えている。加えてインドネシアではAIへの接触率が高い。日本より多いのではないかと思えるほどで、親和性は高いのではないか。

 ——企業側にAIを使いこなせる人材がいない場合、導入支援はどう進めるのか。

 ◆当社のモデルは単にソフトウエアを販売・展開するというものではなく、主眼を「パートナーとの共創」に置いている。

 インドネシアのパートナーと一緒にケーススタディー(活用事例)を作りながら、当社の強みを理解してもらう。必要なら一緒に機能を強化する。基本的にはパートナーのビジネスとして自走できる形にしたい。そうすることで、パートナー、顧客、当社の「三方よし」のビジネスモデルが構築できる。

 ——イベントへの意気込みを。

 ◆インドネシアには当社拠点もあるが、NI(ネットワークインテグレーション)を中心に展開してきた。AI領域は当社にとっても新たな挑戦である。だからこそ、現地パートナーと一緒に作り上げていきたい。

 価格面や業務分野についても顧客と相談しながら進める。言語対応、サポート、カスタマイズが必要になる部分もあり、まだ見えていない課題も多い。現地パートナーの知見を得ながら一緒に進めていく考えだ。