インドネシアニュース JCBとダナモン銀、10月に最上位カードー富裕層に「価値ある体験」提供

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 JCBと三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)傘下のダナモン銀行は、インドネシアの富裕層を対象とした最上位グレードのクレジットカードを10月に投入する。三菱UFJ銀行とJCBによる東南アジア諸国連合(ASEAN)での包括協業の第1弾。訪日時の特別な飲食や宿泊、観光体験などの高付加価値サービスを提供することで、国内大手行との差別化を図る。

両社が発表した日本をテーマとする協働ブランディングコンセプト・イメージ

■ASEANに熱視線

 今回の提携の背景には、JCBが成長戦略の柱と位置づける訪日外国人(インバウンド)需要の取り込みがある。JCBは中期経営計画で日本へのインバウンドを重点分野に設定し、ASEANではインドネシアとタイ、フィリピン、ベトナムの4カ国を重点市場に設定した。4カ国の会員数はコロナ禍前に比べると約3割以上増加しているという。佐藤陽・JCBインターナショナル・インドネシア社長は「インドネシア人渡航者の訪日需要をJCBカードで取り込む流れをさらに強化したい」としている。

 こうした顧客基盤の拡大に向け、JCBは三菱UFJ側がASEAN4カ国に持つパートナー銀行のネットワークを活用。インドネシアでは既に富裕層向けの「ダナモンJCBプレシャス」を発行している。同カードは会員1人あたりの取扱高が高く、他の現地発行カードに比べて日本など海外での利用の割合が高いのが特徴だ。

■超富裕層に照準

 10月に投入する新カードは、既存の「プレシャス」を上回る最上位の「アルティメット」相当の等級を予定。保有する金融資産などの審査要件を高く設定し、ダナモン銀行が持つ富裕層顧客を中心に発行する方向で準備を進めている。対象としては、日本円換算で数千万円以上の金融資産を持つ層や企業経営者、日系企業と取引のある現地企業のオーナーや役員などを想定している。

■「特別な体験」で差別化

ダナモン銀はプライベートヘリなど「超裕福層」向けサービスの拡充に力を入れている=同行サイトより

 ダナモン銀側にとっても、JCBとの連携強化は激化する国内市場での差別化戦略に直結する。インドネシアの富裕層向け金融市場では、セントラル・アジア銀行(BCA)やマンディリ銀行など地場メガバンクが圧倒的なシェアを握る。

 インドネシアの富裕層は一つの銀行に全資産を預けず、複数の銀行に分散して運用する傾向が強いため、外資系であるダナモン銀行としては富裕層から「第2、第3の取引銀行」として選ばれる点を今回の最上位カードで利用する。

 吉田仁ダナモン銀行取締役(グローバルアライアンス戦略担当)は「JCBが長年培ってきた海外旅行や留学、不動産購入といった分野に関心を持つ顧客へのサービス力を武器に、新たな富裕層向け市場を開拓したい」と意気込みを示す。

■オールジャパンで強化

 また、前出の佐藤氏は「富裕層が最上位カードに求める価値は、割引やポイント付与といった実利だけでなく、アクセスが困難な限定体験の提供にある」と指摘。インドネシア人富裕層は時間の価値や家族と過ごす体験に重点を置くとした上で「日本に関心があったり、十分な資金を持っていても言葉の壁や情報不足から、高品質なレストランや文化体験にたどり着けないことが多い」と説明する。

 このため、具体的な特典内容は10月のカード投入時に正式発表されるが、一般には予約が難しい飲食店や宿泊施設、限定イベント、観光・文化体験などの手配機能も盛り込まれる方針。

 JCBは日本でカード加盟店を直接開拓し、強固な加盟店ネットワークを有する。さらに、上位会員向けに予約が難しい有名店やJR九州の豪華クルーズ列車「ななつ星」を独自に手配するなど、富裕層向けコンシェルジュサービスの豊富な知見やノウハウをインドネシアでも展開する構えだ。

 佐藤氏は「発表以降、日本側の事業者からも参画への問い合わせを多数受けている。インドネシアでも現地日系企業と連携し、オールジャパンの体制で富裕層を取り込みたい」と述べ、日本のインバウンド市場活性化を見据えた日系企業との連携強化に期待を示した。