注目の新規IPO銘柄 注目の新規IPO銘柄⑨ー上場資金で物流・デジタルに攻勢 / メデラ・ポテンティア

Share facebook はてなブックマーク note X (Twitter)

 メデラ・ポテンティアは、医薬品や健康関連商品の流通を中心に、医療機器の販売・製造、デジタル事業などを手がけるインドネシアの医療関連企業だ。

 持ち株会社としては2011年に設立され、事業の源流は1980年設立の医薬品卸、アヌグラ・アルゴン・メディカ(AAM)にさかのぼる。長年培った流通網を強みに事業を広げ、25年4月、インドネシア証券取引所(IDX)に上場した。

■医薬品流通が事業の柱

 グループの中核を担う子会社AAMは、全国に35支店などの拠点を持ち、製薬会社など70社以上から9000を超える商品を取り扱う国内屈指の医薬品流通網を持つ。民間市場だけでなく、国民健康保険制度に関わる医薬品供給も担う。医薬品は厳格な温度・配送管理が必要なため、この全国的な低温輸送のネットワークそのものが同社の大きな競争力となっている。

 一方、医療機器の販売・製造にも事業を広げ、デジタル分野ではオンライン薬局「GoApotik(ゴー・アポティック)」や薬局向けプラットフォームを展開する。医薬品流通を軸に、医療機器、デジタルへ事業範囲を広げている。

■IPO資金で物流を強化

 新規株式公開(IPO)で得た資金は、借入金の返済やデジタル薬局事業の拡大に加え、西ジャワ州ジャバベカ工業団地での物流拠点の取得といったインフラ投資へ集中的に投入されている。

 商品を増やしても配送能力が追いつかなければ成長できないため、一般的な小売企業と異なり、物流網の拡張を成長戦略の中心に据えている。

■25年、純利益16%増

 25年12月期の連結売上高は14兆8900億ルピア、純利益は3981億ルピアとなった。純利益は前年比16%増で、流通網の強化や業務効率化などが寄与した。売上高の大半は依然として医薬品流通が占めるものの、物流や販売管理の効率を高めたことで利益率が向上。短期的な支払い能力を示す財務指標も前年から大きく改善した。

■東南アジアにも展開

 国内市場だけでなく、東南アジアへの事業拡大も進めている。

 カンボジアでは、子会社ダイナミック・アルゴンを通じ、医薬品やヘルスケア製品の流通・卸売を手がける。

 医療機器子会社のDMMも25年8月からカンボジアと東ティモールへの輸出を始めた。国内の医薬品流通を基盤に、周辺国へ事業領域を広げている。

 一方、収益の中心は現在もAAMの医薬品流通事業で、持ち株会社として特定子会社への依存度が高い。医薬品流通では、許認可への対応や品質管理に加え、低温での保管・輸送が必要な製品を扱うコールドチェーンなど、安定した物流体制が求められる。

■「卸売の先」育つか

 今後は上場で調達した資金を活用した物流網の強化を、取扱量や収益拡大にどうつなげるかが焦点となる。取扱商品や供給元を増やし、物流拠点への投資で配送能力や業務効率の向上を目指す。

 一方で、医療機器の製造やデジタル事業も拡大しており、医薬品流通への依存度を下げ、収益源を多様化できるかも課題だ。