注目の新規IPO銘柄 注目の新規IPO銘柄⑩ー調達資金で地域病院網を増強 / チプタ・サラナ・メディカ

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 チプタ・サラナ・メディカ(PT Cipta Sarana Medika Tbk)は、インドネシアの西ジャワ州を地盤に民間病院を運営する医療会社だ。西ジャワ州のスカブミやブカシ周辺で3病院を展開し、地域の一般医療需要を取り込んでいる。

 2014年に設立。現在はチバダック、クドゥンワリンギン、スカタニの3カ所で「DKH」ブランドの中規模(タイプC)病院を運営する。25年5月、銘柄コード「DKHH」でインドネシア証券取引所(IDX)に上場した。

■西ジャワに3拠点

 同社の主力事業は病院運営で、救急、外来、入院、手術、集中治療などのほか、新生児(NICU)や小児(PICU)の集中治療室、画像診断などにも対応する。ジャカルタなど大都市の大型病院とは異なり、地方都市を中心に一般医療の中規模病院を展開している点が特徴だ。

 病院ブランドの「DKH」は、創設者のカルリナ・ジャジャアトマジャ氏と、インドネシア第4代副大統領を務めたウマル・ウィラハディクスマ氏の名前に由来する。

■BPJS患者も取り込む

 同社事業の特徴の一つが、国民健康保険制度(BPJS)の利用者を含む幅広い患者層を対象としていることだ。

 同社は上場時の目論見書で、BPJS患者への対応を念頭に置いたコスト競争力と、近接地域に複数の病院を展開する「クラスター戦略」を強みとして掲げた。

 一定地域に病院を集中させることで、人材や設備、医療サービスを効率的に配置し、病院間の連携を高める考えだ。病院数を全国へ一気に広げるのではなく、地盤とする西ジャワでの事業密度を高める戦略をとる。

■効率化で利益倍増

 25年12月期の売上高は前年比4・8%減の1448億7000万ルピアとなった。一方、親会社株主に帰属する純利益は前年の約28億ルピアから60億2000万ルピアへ増加した。

 売上高は微減したものの、純利益は2倍以上に拡大。上場初年度は病院数の拡大を追わず、収益改善が目立つ決算となった。

 もっとも、売上規模では大手民間病院グループとの開きが大きく、現時点では西ジャワを地盤とする地域中堅グループの位置づけだ。

■IPO資金で病院拡張

 新規株式公開(IPO)で調達した資金は、主に地盤である「チバダック病院」の改修や新棟建設、CTスキャンといった医療機器の導入に充てる。増床と医療サービスの拡充を同時に進める計画だ。

 さらに、専門医の確保や病院間の情報システム統合、サービスの標準化にも取り組み、3病院を一体的に運営する効率的な医療ネットワークの構築を急ぐ。

■地域集中に特化

 同社の成長戦略は、全国へ次々と出店する拡大モデルとは一線を画す。

 既存3病院の設備を増強して1病院当たりの診療能力を高めるほか、特定の地域に集中的に出店する戦略によって医療人材や設備の融通、患者紹介などの連携による「規模の利益」を追求する。地域密着型の病院網を敷き、患者をグループ内で循環させられる体制を築けるかが成長のカギを握る。

■成長とのバランスが課題

 一方、国民健康保険制度(BPJS)患者の比率が高い病院は、診療価格を自由に設定しにくい制約がある。人件費や医薬品費が高騰するなか、病床や設備の稼働率を高めなければ投資がそのまま利益増にはつながらない。

 上場企業となった同社にとって、西ジャワで確立した地域密着型モデルの収益性を確保しながら、成長投資と採算性をいかに両立させるかが次の試金石となる。