インドネシアニュース 日系企業「規制の朝令暮改」に不信ーゼンジア氏、現地報道番組で解説
日系企業に特化した総合コンサルタント会社、イーザ・インテグレーテッド・コンサルティング(IIC)のゼンジア・シアニカ・イーザ代表が12日、大手メディア「コンパスTV」のビジネスニュース番組に出演した。在インドネシアの日系企業が抱える最大の懸念として「規制の一貫性の無さ」と指摘し、事業環境の改善に向けた対応の必要性を訴えた。

■日系は「急がず段階的に」
番組では、プラボウォ・スビアント大統領がバッテリー電気自動車(BEV)の普及を推進する姿勢を示していることを受け、日本の自動車産業への影響が議論された。ゼンジア氏は、日本メーカーがBEVの開発に慎重な背景として、長年にわたるハイブリッド(HV)技術への投資を指摘。トヨタ自動車をはじめとする日本勢は、資金や人材、生産体制をHV車に投じてきたため、既に中国勢や韓国勢が先行するBEV市場へ急速に軸足を移すことは容易ではないとの見方を示した。
一方で同氏は、BEV優遇が日本メーカーに直ちに致命的な打撃を与えるわけではないとも分析した。国内の自動車市場ではBEVの販売比率はなお限定的で、販売の大半はガソリン車やハイブリッド車が占める。BEVの販売が全体の約1割にとどまる現状において、日本勢は既存の主力市場を維持しながら、段階的に電動化へ対応する方が合理的だとした。
■充電施設がカギ

BEV普及には充電設備や電力供給網の整備が欠かせない。地方部を含め国内ではまだインフラ整備が十分に進んでおらず、普及の足かせとなっている。ゼンジア氏は、BEVは必要な選択肢であるとしつつも「唯一の解決策」ではないとし、インフラ面の限界が市場拡大の速度を左右すると説明した。
また、日本勢の別の選択肢として水素自動車にも言及した。トヨタなどは水素を燃料とする車両技術を持ち、日本国内で実用化している。しかし、水素ステーションの整備には通常のガソリンスタンドを大きく上回る巨額の投資が必要。日本でも普及は限定的で、インドネシアはさらに時間がかかるとみられる。
課題は車両技術そのものより、部品供給網(サプライチェーン)の整備にある。インドネシア政府が定める部品の国産化比率(TKDN)が大きな課題となる。現在40%とされる水準は今後60%へ引き上げられる見通しで、自動車メーカーには現地調達のさらなる拡大が求められる。自動車は多数の部品で構成されるため、一括調達は容易ではない。国内サプライヤーには品質や供給量には依然として課題が残るため、メーカーは追加投資や現地企業との技術協力を進める必要があると指摘した。
■魅力ある市場変わらず
ゼンジア氏は繰り返される政策変更がより重荷になるとも指摘した。
日系企業は長期的な投資計画を前提に動くと説明した上で、新工場建設や生産体制の変更には巨額の資金が必要なため、計画立案から社内承認までに1~2年の時間がかかると背景を説明し、規制が短期間で変わることが日系企業にとって判断を困難にすると解説した。
同氏はその一例として、電気自動車(EV)への地方税課税をめぐる混乱を挙げた。今年4月、内務大臣令でEVにも地方税が課されたが、業界団体などの反発で実際には0%に戻された通達に言及。こうした混乱が企業だけでなく、消費者にも不確実性を与えると批判したうえで、消費者の購入マインドが政策に左右される以上、税制や補助金の突然の変化がメーカーの販売・生産計画を直撃すると述べた。
最後に、日系企業がインドネシア市場に魅力を感じている点も強調した。人口規模が大きいインドネシアは生産拠点であると同時に巨大な消費市場でもある。国内で製造した製品をそのまま国内市場に販売できることは、投資家にとって大きな利点だとの見方を示した。