文化・くらし・コミュニティー 伝統音楽を「若者の熱狂」へー「失恋ソングの女王」ピカチュウと踊る

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幅広い層から人気を集めるハッピー・アスマラさん。ハッピーさんが奏でる軽快なリズムは今回のコラボレーションにうってつけだ=同

 今回ポケモンとのコラボレーションが発表された歌手のハッピー・アスマラさんは、大衆音楽「ダンドゥット」を若い世代にも親しみやすいポップな形で届けてきた現代のトップランナーの一人だ。

 本名はヘッピー・リスマンダ・ヘンドラナタ。東ジャワ州クディリ出身で、地元の小さな舞台や地域のイベントで歌いながら経験を重ね、ダンドゥットに軽快な電子ビートを融合させた「ダンドゥット・コプロ」や、自身のルーツであるジャワ語の楽曲を中心に活動の幅を広げてきた。

 2016年には、スター歌手への登竜門として知られる人気オーディション番組「D’Academy」に挑戦。頭角を現すと、その後「Tak Ikhlasno」や「Dalan Liyane」といった失恋ソングが連続して大ヒットを記録した。ジャワ語で切ない恋心を歌い上げるスタイルは若者の間で社会現象化し、ハッピーさんは「アンビャル(失恋ソング)の女王」とも呼ばれる。

 彼女にとってダンドゥットは、単なる音楽ジャンルではなく、文化や日常的な喜怒哀楽と結びついた表現そのものでもある。

 かつては「年配が聞く古い音楽」というイメージを持たれがちだった伝統音楽を、軽快なリズムやSNSで拡散するダンス動画と組み合わせることで、Z世代をはじめとする幅広い世代が楽しめる現代のエンターテインメントへと昇華させた。 

 今回のハッピーさんの起用は、インドネシアの大衆文化と、日本発の世界的キャラクターを極めて自然な形でつなぐかけ橋となる。ダンドゥットを通じて、ポケモンはインドネシアの「日常」の風景へとさらに一歩、溶け込んでいくことになりそうだ。