注目の新規IPO銘柄 注目の新規IPO銘柄⑭ー暗号資産の取引・保管基盤を一体運営 / インドクリプト・コイン・スメスタ

Share facebook はてなブックマーク note X (Twitter)

 暗号資産関連の持株会社インドクリプト・コイン・スメスタ(COIN)は、暗号資産の取引所と保管サービスを傘下に持ち、売買や資産管理を支えるインフラ事業を展開している。暗号資産そのものの発行や運用ではなく、取引に必要な基盤を提供して収益を得る点が特徴だ。

 同社は2021年12月に設立され、23年に商業運転を開始。25年7月に銘柄コード「COIN」でインドネシア証券取引所(IDX)へ上場した。傘下には暗号資産・先物取引所を運営するセントラル・フィナンシャルX(CFX)と、暗号資産の保管を担うクストディアン・コイン・インドネシア(ICC)を抱える。

■取引・保管の2事業が柱

 主力のCFXは、金融サービス庁(OJK)の監督下で暗号資産取引所を運営し、現物取引や永久先物を含むデリバティブ(金融派生商品)取引の手数料を収益源とする。一方、ICCは暗号資産の保管サービスを提供している。

 売買と保管の両機能をグループ内に持つことで、暗号資産市場の取引拡大を収益につなげる仕組みだ。取引手数料に加え、保管料やソフトウエア利用料など、複数の収益源を確保できる点が強みとなっている。

■手数料収入が大きく拡大

 25年12月期の連結売上高は2848億ルピア、親会社株主に帰属する純利益は491億ルピアだった。

 売上高、純利益ともに前年を上回った。総資産は1兆6025億ルピアに達し、負債総額は537億ルピアとなった。

 収益面では、現物取引やデリバティブ取引の手数料、暗号資産の保管料が拡大した。24年に比べて一時的なシステム実装収入への依存度が低下し、取引インフラ事業から得られる収益の比重が高まった点が特徴だ。

■IPOで技術基盤を強化

 同社は新規株式公開(IPO)で調達した資金の約85%をCFX、残りをICCに振り向ける計画だ。CFXでは取引システムの整備や流動性の確保、デリバティブ商品の開発、調査・投資家教育などを進め、取引所としての機能を拡充する。

 ICCでは暗号資産を管理するウォレット関連技術やセキュリティーを強化する。保管技術では米ファイアブロックスと米コインベース・カストディを起用し、クラウド分野ではアリババクラウドとの協業実績も持つ。外部の技術を活用し、安全性とサービスの信頼性を高める方針だ。

■市場変動と規制対応が課題

 一方で、業績は暗号資産の価格や売買高の変動に左右されやすい。相場が低迷して取引が減少すれば、主力の手数料収入が落ち込む可能性がある。許認可の維持・更新やシステム障害への対応、人材確保なども経営上のリスクとなる。

 今後は、25年に拡大したデリバティブ関連収益を安定的な収益源として定着させるとともに、保管料やソフトウエア利用料などの比重を高められるかが焦点となる。規制下で取引所と保管機能の信頼性を維持しながら、利用者と会員業者の基盤をどこまで広げられるかが成長を左右する。