交通インフラ 鉄道禁輸宣言、その実態はー国産化は日本企業にも商機

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 政府系ファンドのダナンタラが鉄道車両の輸入を禁じる方針を示したと報じられているが、これを全面的な「海外メーカー排除」と受け止めるのは正確ではない。実態は、財源、運行形態、車両の種類によって判断が分かれる。もちろん、政府としては、完成車の輸入よりも、TKDNを向上させ、産業を活性化させたいという思惑がある。

2025年から導入が進む待望のINKA製通勤電車CLI-225型。中古車の導入が途絶えてもJIS規格と多くの日本製品を採用する

■繰り返される「国産化宣言」

円借款で建設されたMRTジャカルタでは、日本製車両を導入。建設が続くフェーズ2でもこのスキームに変わりはない

 政府は2000年代初めから鉄道車両の国産化を繰り返し宣言してきた。13年以降、日本からの中古車両が導入できなくなるとの見方が広がり、関係者に衝撃を与えた。だが実際には、その後も日本製の中古電車は輸入され、900両以上が導入されている。

 背景には鉄道車両生産を支える「裾野産業」の不足がある。国営車両メーカーINKA一社では全てを満たすことが出来ない。実際に現場レベルでは同社の品質に対して厳しい見方がある。現状で安定して量産できるのは客車が中心だ。過去には国産機関車が営業運転開始後、短期間で故障した例もある。

 こうした状況で、全ての鉄道車両を国産に限定するのは現実的ではない。必要なのは海外の技術や品質管理、部品供給網を活用しながら、国内産業を段階的に育てることにある。

■通勤電車は日本部品使用

CLI-225型をよく観察すると多数の日本メーカーのロゴを見つけることができる

 その中で、ジャカルタ首都圏(ジャボデタベック)の通勤電車については、INKAに電車30編成が追加発注される方向で調整されているが、引き続き、海外メーカーからの部品供給なしには成り立たない。初の量産を果たした初回16編成に対しては、重要部品のみならず、スピーカーやカーテンにまで日本製品が使われている。

 一方、ジャカルタ特別州の州営企業が運営するMRTやLRTは、補助金の出どころがKAI通勤線のように中央政府ではなく州政府のため、海外からの車両調達に直ちに影響が及ぶ可能性は低いとみられる。

 現地化はさらなる参入機会の拡大を意味する。日本の車両輸出が、価格や納期で競争力が弱くなる中、インドネシアの鉄道車両国産化の動きは、日本企業にとって追い風と言える。